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国内税務2026.09.02 令和8年11月から免税店制度が変わります~リファンド方式と会計処理~

令和8年11月1日から、外国人旅行者向けの消費税免税制度が「リファンド方式」に変更されます。

これまでは、外国人旅行者等に商品を販売する際、その場で消費税を免除していました。

改正後は、購入者がいったん消費税込みの価格を支払い、出国時に税関で商品の国外への持ち出しが確認された後、免税店等が消費税相当額を返金する仕組みになります。

今回の改正は、免税店の販売手続だけでなく、売上計上、消費税の会計処理、購入者への返金にも影響します。

現行制度との違いとともに、免税店における会計処理や実務上の注意点を確認しておきましょう。

 

 

1.リファンド方式とは

 


 

リファンド方式とは、外国人旅行者等が免税店で商品を購入する際に、いったん消費税込みの価格を支払い、出国時に商品の国外への持ち出しが確認された後、消費税相当額の返金を受ける制度です。

例えば、税抜価格10,000円、消費税1,000円の商品を購入する場合、現行制度と改正後では次のように取扱いが異なります。

 

現行制度

購入時に消費税が免除されるため、購入者が支払う金額は10,000円です。

 

改正後

購入時には税込価格11,000円を支払い、出国時の税関確認後に消費税相当額1,000円の返金を受けます。

最終的な購入金額は同じですが、消費税相当額を免除するタイミングが「購入時」から「出国時の確認後」に変更されます。

 

2.なぜリファンド方式へ変更されるのか


 

現行制度では、外国人旅行者等が商品を国外へ持ち出すことを前提として、購入時点で消費税を免除しています。

しかし、免税で購入された商品が実際には国外へ持ち出されず、日本国内で転売されるなど、制度の不正利用が問題となっていました。

現行制度では、購入時に免税販売が成立するため、その後、商品が実際に国外へ持ち出されたかどうかを免税店が直接確認することは困難です。

また、高額な商品を繰り返し購入するなど、不正利用が疑われる場合であっても、免税店側で購入者の目的や国外への持ち出しを判断しなければならず、店舗側の事務負担も生じていました。

そこで、改正後は、商品の国外への持ち出しが税関で確認されてから免税販売が成立する仕組みに変更されます。

区分 取扱い
現行制度 商品を国外へ持ち出す予定であることを前提に、購入時から消費税を免除します。
改正後 購入時はいったん消費税を徴収し、税関が商品の国外への持ち出しを確認した後に、消費税相当額を返金します。

リファンド方式では、商品を実際に国外へ持ち出した購入者だけが、消費税相当額の返金を受けられます。

これにより、免税品の国内転売などの不正利用を防止するとともに、免税店が販売時に不正利用の可能性を判断する負担を軽減することが、今回の改正の主な目的です。

一方で、免税店には新たに、税込価格での販売、税関確認情報の取得、課税売上から免税売上への振替え、購入者への返金といった対応が必要になります。

 

3.現行制度との主な違い


 

現行制度とリファンド方式の主な違いは、次のとおりです。

項目 令和8年10月31日まで 令和8年11月1日以後
購入時の支払額 原則として税抜価格 税込価格
免税が成立する時期 購入時 出国時の税関確認後
販売時の消費税区分 免税売上 いったん課税売上
消費税相当額の返金 原則不要 免税店等が返金
国外への持ち出し期限 特に定め自体はなし 購入日から90日以内
一般物品・消耗品の区分 区分あり 区分を廃止
消耗品の特殊包装 必要 廃止
消耗品の購入上限額 1日50万円以下 上限を廃止
最低購入金額 原則として1日5,000円以上 1日5,000円以上

現在は、化粧品、食品、飲料、医薬品などの消耗品について、同一店舗における1日の購入金額を税抜5,000円以上50万円以下とすることや、指定された方法で包装することなどが求められています。

改正後は、一般物品と消耗品の区分、消耗品の50万円の購入上限、特殊包装が廃止されます。

ただし、特殊包装が廃止されても、購入した商品を日本国内で自由に使用・消費してよいわけではありません。

出国時に購入した商品を所持していなければ、税関による持ち出し確認を受けられず、消費税相当額も返金されません。

金地金に関しては引き続き免税の対象外となります。

 

4.購入から返金までの流れ


 

リファンド方式における購入から返金までの流れは、次のとおりです。

 

1.免税店で商品を購入

外国人旅行者等は、免税店で旅券等を提示し、商品を消費税込みの価格で購入します。

免税店は、購入者が免税購入対象者に該当することを確認し、購入記録情報を国税庁の免税販売管理システムへ送信します。

 

2.購入日から90日以内に出国

購入者は、商品の購入日から90日以内に出国する必要があります。

 

3.税関で商品の持ち出し確認

購入者は、出国する空港や港に設置された端末等で旅券を提示し、税関による確認を受けます。

検査が必要と判定された場合は、税関職員に購入した商品を提示します。

購入した商品は、税関確認が終わる前に航空会社へ預けないよう注意が必要です。

 

4.消費税相当額を返金

税関による確認結果は、国税庁の免税販売管理システムを通じて免税店等へ提供されます。

その後、免税店または免税店から委託を受けた事業者が、購入者へ消費税相当額を返金します。

返金方法について、消費税法令上の指定はありません。

銀行振込、クレジットカードへの返金、アプリ送金、出国港内での現金による返金などが想定されています。

なお、税関や国税庁が購入者へ返金するわけではありません。返金手続は、免税店または免税店から委託を受けた事業者が行います。

 

5.リファンド方式における会計処理


 

リファンド方式では、商品を販売した時点では、まだ商品の国外への持ち出しが確認されていません。

そのため、販売時はいったん課税売上として処理し、税関確認情報を取得・保存した後に、課税売上から免税売上へ振り替えます。

以下では、税抜経理方式を採用している免税店が、税抜価格10,000円、消費税1,000円の商品を現金で販売した場合を例に説明します。

 

1.商品を販売したとき

販売時には税込価格11,000円を受け取り、課税売上として処理します。

借方 金額 貸方 金額
現金 11,000円 売上(課税売上) 10,000円
仮受消費税 1,000円

外国人旅行者等が免税購入手続を行っていたとしても、販売時点では免税売上として処理しません。

現在の制度では販売時から免税売上となりますが、改正後はまず課税売上として処理する点が大きな変更となります。

 

2.税関確認情報を取得・保存したとき

購入者の出国時に商品の持ち出しが確認され、免税店が税関確認情報を取得・保存すると、免税販売の要件を満たします。

この時点で、課税売上から免税売上へ振り替えます。

借方 金額 貸方 金額
売上(課税売上) 10,000円 売上(免税売上) 10,000円
仮受消費税 1,000円 未払金 1,000円

仮受消費税として計上していた1,000円は、購入者に返金する金額となるため、未払金へ振り替えます。

この振替処理は、税関確認情報を取得するたびに行う方法のほか、月次など一定のタイミングでまとめて行う方法も認められています。

 

3.消費税相当額を返金したとき

購入者へ消費税相当額1,000円を返金した場合は、次のように処理します。

借方 金額 貸方 金額
未払金 1,000円 現金・預金 1,000円

これにより、税関確認情報の取得時に計上した未払金が消滅します。

返金業務を外部事業者へ委託する場合は、購入者への返金額と、委託事業者へ支払う手数料を区分して処理する必要があります。

委託手数料の勘定科目や消費税区分については、返金代行事業者との契約内容や精算書を確認する必要があります。

 

6.月次でまとめて振り替える場合


 

税関確認情報を取得するたびに仕訳を行うと、取引件数が多い免税店では事務負担が大きくなります。

そのため、国税庁のQ&Aでは、月次など一定のタイミングで、課税売上から免税売上へまとめて振り替える方法も認められています。

例えば、1か月間に税関確認情報を取得した取引が、税抜5,000,000円、消費税相当額500,000円だった場合は、次のように処理します。

借方 金額 貸方 金額
売上(課税売上) 5,000,000円 売上(免税売上) 5,000,000円
仮受消費税 500,000円 未払金 500,000円

月次振替を行う前に購入者への返金を行った場合は、返金額をいったん仮払金として処理し、月次振替時に精算する方法も認められています。

免税販売の件数が多い事業者は、税関確認情報とPOSレジ、販売管理システム、会計ソフトを連携できるか確認しておく必要があります。

 

7.販売と税関確認が課税期間をまたぐ場合


 

実務上注意が必要なのが、商品を販売した課税期間と、税関確認情報を取得・保存した課税期間が異なる場合です。

例えば、決算日直前に商品を販売し、購入者の出国と税関確認が翌期になった場合が該当します。

 

販売した課税期間

販売した課税期間の末日までに税関確認情報を取得できなければ、その課税期間では課税売上として処理し、消費税を申告・納付します。

 

翌期に税関確認情報を保存した場合

翌期に税関確認情報を取得・保存した時点で、課税売上から免税売上へ振り替えます。

消費税申告上は、次のいずれかの方法により処理します。

 

  • ・税関確認情報を保存した課税期間に、売上げに係る対価の返還等があったものとして処理する方法
  • ・税関確認情報を保存した課税期間の課税売上高から、前期に課税売上とした金額を控除する方法

 

この取扱いを採用する場合は、継続して同じ方法により処理する必要があります。

なお、この振替処理について、購入者に適格返還請求書、いわゆる返還インボイスを交付する必要はありません。

決算日前後の取引については、販売日だけでなく、税関確認情報を取得・保存した日も確認することが重要です。

 

8.税関確認を受けられなかった場合


 

購入者が次のような理由で税関確認を受けられなかった場合、その販売を免税売上へ振り替えることはできません。

  • ・購入日から90日以内に出国しなかった場合
  • ・出国前に商品を使用または消費した場合
  • ・税関確認時に商品を所持していなかった場合
  • ・必要な税関手続を行わなかった場合
  • ・一回の購入記録に含まれる商品の一部を所持していなかった場合

 

この場合、販売時に計上した課税売上と仮受消費税はそのままとなり、購入者への消費税相当額の返金も行いません。

リファンド方式では、税関確認の結果によって、課税売上のままとなる取引と、免税売上へ振り替える取引が分かれます。

 

 

9.免税店が準備すべきこと


 

リファンド方式への移行に伴い、免税店では主に次のような対応が必要になります。

 

  • ・税込価格で販売するレジ、POSシステムへの変更
  • ・課税売上から免税売上へ振り替える会計処理の整備
  • ・新制度に対応した購入記録情報の送信
  • ・税関確認情報を取得するためのシステム対応
  • ・税関確認情報と販売データを照合する仕組みの整備
  • ・購入者への返金方法、返金時期、手数料の検討
  • ・返金を自社で行うか、外部事業者へ委託するかの判断
  • ・外国人旅行者等に対する多言語での案内
  • ・店舗スタッフ及び経理担当者への教育
  • ・税関確認済みで未返金となっている金額の管理
  • ・返金見込額を反映した資金繰り表の作成

 

特に、税関確認情報、売上データ、返金記録を相互に確認できる状態にしておくことが重要です。

税関確認が完了すると、会計上は購入者に対する未払金が発生します。返金先情報の誤りなどにより返金できないケースも考えられるため、確認済みの金額と実際の返金額を定期的に照合する必要があります。

 

まとめ


 

令和8年11月1日から、外国人旅行者向けの消費税免税制度はリファンド方式へ変更されます。

今回の改正は、免税品の国内転売などの不正利用を防止し、実際に商品を国外へ持ち出した購入者に限って免税を認めることを主な目的としています。

改正後は、購入者がいったん税込価格を支払い、出国時に商品の国外への持ち出しが確認された後、免税店等から消費税相当額の返金を受けます。

会計処理については、次の流れになります。

 

  • ・販売時は課税売上と仮受消費税を計上する
  • ・税関確認情報の取得・保存後に免税売上へ振り替える
  • ・消費税相当額を未払金として計上し、返金時に取り崩す

 

また、販売と税関確認が課税期間をまたぐ場合には、消費税申告上の調整も必要です。

今回の改正については経過措置がありませんので、免税販売を行っている事業者様は、レジや販売システムだけでなく、売上区分、返金処理、未払金管理、決算時の確認方法などを11月1日から開始できるように10月中に準備されることをお勧めいたします。

 

参考

国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」

国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)」

あすか税理士法人

白川達也