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国内税務2022.05.11 交際費課税の仕組み

普段の実務をされている中で、交際費について何らかの特殊な税務上の取り決めがあること、なんとなくご存じのかたは多いかと思います。

今回はその「交際費」の課税の仕組みについてざっくりと確認したいと思います。

 

 

 

交際費等ってどのような支出?


 

法人税法では「交際費等」という言葉が使われていますが、「交際費等」の定義としては、

かみ砕いていうと、取引先などに対して、事業のために支出される接待・供応・慰安・贈答の費用及びそれを行うための費用とされています。

 

取引先と事業のためにご飯を食べた費用やゴルフのプレー費用はもちろん、この接待のための費用である自社従業員のタクシー代や、取引先のタクシー代を負担した場合も交際費等となる点に注意が必要です。

 

 

 

原則的には交際費等は経費にならない


 

原則、交際費等は経費になりません。

もし交際費等が経費になれば、ある種会社の「ムダ遣い」が増え、企業の経営力向上の妨げになると考えられています。そのため、原則として交際費等は経費にならないとされているのです。

 

 

 

交際費等のうち一定の金額は経費として認められる


 

しかし、資本金100億円以下の法人については、一定の金額までの交際費等は経費として認めてあげようというのが現在の考え方です。

 

(下記解説「経費として認められる一定の金額」を参照)

 

 

 

交際費等の計算の仕組み


 

①交際費等に該当する金額を確定させる

②交際費等のうち経費にできる一定の金額を計算

③①―②=経費にならない交際費等が確定(課税される交際費等額が確定)

 

そのため、まずは「交際費等」の金額を確定させることが重要となるのですが、一部注意点があるので、主なものを下記にて解説したいと思います。

 

 

 

1人5,000円以下の「飲食費」は交際費等から除く→必ず経費になる


 

1人当たりの金額が少額な「飲食費」は交際費等にならず、問答無用で経費とすることができます。注意が必要なのは、この「飲食費」はいわゆる飲食店に払った費用のみで、タクシー代などは全く考慮に入れないという点です。(接待のためのタクシー代は交際費等に該当します。)

 

そのため、1人あたり5,000円以下(飲食代÷人数の金額)の飲食費は会計上、「交際費」勘定以外の科目(会議費など)や交際費勘定の別補助に集約したほうが分かりやすいと思います。

 

 

 

「社内飲食費」は必ず交際費等に該当する


 

注意点として「飲食費」のうち、「社内飲食費」は1人5,000円以下であっても、経費にすることはできません。

 

「社内飲食費」とは自社の特定の役員・従業員・その家族の接待等のために支出される飲食費です。

 

半○直樹(少し古い?)で、社内政治や接待のために登場人物たちが銀行の特定の役員などと料亭で食事をしていましたが、あの飲食費は「社内飲食費」として5,000円判定関係なく交際費等になり、役員が乗っていた帰りのタクシー代もそもそも飲食費に該当しないので交際費等になるというイメージですね。

 

 

 

経費として認められる一定の金額


 

交際費等の金額が確定したら、そのうち経費にすることができる一定の金額を算定します。

その金額は下記のいずれか(大きいほう)となります。※

 

①「接待飲食費」の金額×50%

②800万円×当期の月数/12

 

このときの「接待飲食費」とは、上記5,000円判定をした金額のうち、1人あたり5,000円超となった飲食費を指します。

交際費等の金額のうち上記①②の金額いずれかまでが法人税法上の経費となり、超えた分の金額は経費となりません

 

※資本金1億円超の法人は②の適用なし(①のみ適用)

※資本金100億円超の法人は①の適用もなし(交際費等の全額が経費にならない)

 

 

 

まとめ


 

・交際費等はそもそも経費にならないが、一定の金額まで経費化が認められている

1人5,000円以下の飲食費は交際費等にならない=問答無用で経費

・社内の特定の人間を接待した「社内飲食費」は金額関係なく交際費等

・経費にできるのは接待飲食費×50%しくは800万円×当期の月数/12まで

 

 

あすか税理士法人

【スタッフ】西浦 翔太