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国際税務2024.04.10 国際税務に係るQ&A(個人編)その1

今回は国際税務に関するご相談を頂く中で、個人の方からよく頂く質問事項をいくつかご紹介したいと思います。

 

Q&A10選


 

Q1.私は183日以上日本にいないので非居住と認識していますが正しいですか?

 

A.No。日本では居住者か非居住者かの判定を生活の本拠がどこにあるかで判定します。
生活の本拠は、滞在日数、職業、家族の状況、住居や資産の所在などから総合的に判断します。
従いまして、滞在日数は居住者判定の一つの要素でしかありません。

 

 

Q2.居住者の定義に1年以上日本に居所があるという記載があります。この日数の判定はどのようにしますか。

 

A.入国日は日数にいれませんので、入国日の翌日から日本での滞在日数をカウントします。
出国する場合も同様の考え方で、出国日までは日本での滞在日数としてカウントされます。

 

 

Q3.非永住者ってどういうものですか。

 

A.こちらをご参照ください。

 

 

 

Q4.日本の居住者ですが、海外の銀行口座で発生した利子、配当、株式等の売買益は日本で確定申告が必要ですか。海外で源泉徴収されています。

 

A.Yes。すべて確定申告が必要です。
外国で源泉徴収された税金は日本で外国税額控除という手続きにより調整します。

 

 

Q5.日本の居住者ですが、リモートで海外企業の業務を行っています。確定申告は必要ですか。

 

A.Yes。勤務地が日本である場合、海外の給与であっても日本で発生した国内源泉所得とみなされ、日本で確定申告の義務が生じます。

Q6.日本の居住者ですが、海外の企業からストックオプションを付与されています。確定申告が必要ですか。

 

A.Yes。外国企業から受け取るストックオプションは日本の税制適格(譲渡時まで課税が繰り延べられる規定)の適用がありません。
従いまして、権利行使時(Exercise)に給与を受け取ったものと確定申告が必要となります。

 

 

 

Q7.非居住者になると日本では確定申告義務は無くなりますか。

 

A.No。日本で発生した所得は日本で納税義務が生じます。多くの所得は源泉徴収で完結するので確定申告は不要です。
確定申告が必要となる主な所得は、不動産賃貸、不動産譲渡、日本国内の事業で生じた利益です。

 

 

 

Q8.20年間の国内勤務を経て、海外へ出向後(非居住者になった後)に退職金を受け取りました。確定申告は必要ですか。

 

A.Yes。ただし、国内勤務期間分の退職金は20.42%の源泉徴収がされます。
日本の退職金課税は優遇が大きく、20.42%の税額は大きすぎる可能性があります。
そこで、すべて居住者として受け取ったものとみなして、過大な源泉徴収税額の還付を受ける制度があります。
これを「退職所得の選択課税」といいますが、この手続きには確定申告が必要となります。

 

 

Q9.日本に住所がないのですがどうやって申告すればいいのですか。

 

A.納税管理人という制度を利用し、日本に居住している方が代理で申告可能です。
こちらをご参照ください

 

 

 

Q10.1年の途中で非居住者(又は居住者)となりました。所得控除は居住者と同じように受けられますか。

 

A.No.非居住者が受けられる所得控除は雑損控除、寄付金控除、基礎控除のみです。
従いまして、1年の途中で非居住者となった場合、居住者の期間についてはすべての所得控除が適用できますが、非居住者となった後に支払われた生命保険や社会保険料などは所得控除の対象となりません。

 

いかがでしょうか。ご自身が実際にその立場になると悩む事象が多いと思います。
参考になれば幸いです。

 

 

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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