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国際税務2024.02.14 【国際税務】海外で受け取る給与も日本で確定申告が必要?

海外の法人から現地の口座に支給される給与は日本で所得税がかかるのかというご質問をよく頂きます。

 

今回はシンプルなのですが意外に勘違いをされている方が多い、海外で受け取る給与の日本での取扱を解説します。

 

 

1.給与(国内源泉所得)の規定と取扱い


 

所得税法161条において、国内源泉所得となる給与は次のように規定されています。
「俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの」

 

役員については国内源泉所得の範囲として次のような規定があります(所得税法施行令285条)。
内国法人の役員としての勤務で国外において行うもの(当該役員としての勤務を行う者が同時にその内国法人の使用人として常時勤務を行う場合の当該役員としての勤務を除く。)」

 

上記より、

 

従業員日本で勤務を行った場合は国内源泉所得に該当し、日本の所得税が課税されます。
たとえ海外の法人から直接海外の口座へ送金されるような場合であっても、リモートワーク等により日本で勤務を行っている場合は日本の所得税が課税されます。

 

役員→基本的に従業員と同じですが、従業員と違う点として、日本の法人の役員については海外で勤務していたとしても日本の法人から支給される給与は国内源泉所得に該当することになります。

つまり日本の法人の役員については、勤務地が海外であっても日本法人支給の給与については日本で所得税が課税されます。

 

例外として、規定のカッコ書きにあるように次に該当する場合は日本法人の役員であっても従業員と同様の取扱となります

①内国法人の役員が内国法人の海外にある支店の長として常時その支店に勤務するような場合(基本通達161-42)

②子会社に常時勤務するがその子会社が現地の法令等により設置せざるを得ないものでその実態が支店と同様であり、勤務内容が使用人と同等であるような場合(基本通達161-43)

 

 

2.非永住者に該当する場合


 

非永住者に該当した場合、日本に送金しない限り日本で所得税の納税は不要と勘違いされている方が非常に多いように感じています。(非永住者についてはこちらを参照

非永住者の課税の範囲が「国内源泉所得及び国外源泉所得で国内において支払われ又は国外から送金されたもの」と規定されていることから、海外の会社から海外で受け取る給与=国外源泉所得で国内において支払われたものではなく、海外の口座から送金しない限り「国外から送金されたもの」にも該当しないと考えがちです。

しかし、上記1の通り日本国内で勤務する以上、海外で給与を受け取ったとしてもその給与は国内源泉所得に該当します
従いまして、非永住者の課税範囲にある国内源泉所得として日本で課税されることとなります。

 

 

3.現地で所得税が課税された場合(外国税額控除)


 

居住者がその年において外国に納付することとなる外国税額については、日本の所得税から控除できる制度があります。
これが外国税額控除です(詳細はこちら)。

 

では国外払いの給与について外国で所得税が源泉徴収された場合日本で控除ができるのでしょうか。

 

この点について、外国税額控除の対象とならない外国税額として、次の規定があります。
「我が国が租税条約を締結している条約相手国等において課される外国所得税の額のうち,当該租税条約の規定により当該条約相手国等において課することができることとされる額を超える部分に相当する金額若しくは免除することとされる額に相当する金額(施行令222条の2」

つまり、租税条約において租税を課さないと規定されている、あるいは課税する限度の税率が定められているにも関わらず、その税率を超えて課された部分外国控除の対象とならないということになります。

 

では、一般的な租税条約において、給与と役員報酬はどのように規定されているでしょうか。

 

〈給与の規定〉

「一方の締約国の居住者がその勤務について取得する給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、勤務が他方の締約国内において行われない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
勤務が他方の締約国内において行われる場合には、当該勤務について取得する給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。」

 

要約すると勤務地が日本であれば日本の所得税のみが課税され、海外であれば海外の所得税のみが課税されるという規定です。

 

〈役員報酬〉
「一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。」

 

こちらも要約すると役員については従業員とは異なり、勤務地は海外であっても日本企業から支給される役員報酬は日本と海外の双方で課税ができるという規定です。

 

つまり、日本で勤務している外資系企業等の従業員が海外で支給される給与について、海外の所得税が課税された場合租税条約では課税されない外国所得税=外国税額控除の対象から除かれる外国税額ということになり、日本で外国税額控除の適用ができないこととなります。

 

一方で役員の身分で支給される報酬については租税条約において双方で課税が可能となっていることから、日本の確定申告において外国税額控除の規定を適用することが可能となります。

 

 

いかがでしょうか。
給与については大原則として勤務地の国で課税されることが理解できたと思います。
租税条約や外国税額控除が関係すると複雑と考えがちですが、まずはどの国で課税されるかをしっかりおさえてください。

 

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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