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国内税務2019.07.17 被合併法人の従業者が合併法人以外の法人の業務に従事する場合の従業者引継要件の判定

合併などにおける税制適格要件の一つである「従業者引継要件」について2018年からちょっと取り扱いが変わっている部分についてご紹介いたします。

 

 

 

 

 

合併における「従業者引継要件」とは、合併直前の被合併法人の従業者のうち、その総数の概ね80%以上が合併法人の業務に従事することが見込まれていることをいいます。

 

 

 

 

 

合併で引き継いだ従業員が合併法人ではなく、合併法人の100%子会社での業務に従事した場合はどうなるの?というのが今回のテーマです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【要旨】

B社は、資本関係のないA社を吸収合併(以下「本件合併」といいます。)することを予定しています。A社(被合併法人)の従業者100人のうち、60人はB社(合併法人)において引き続きX事業に従事し、30人はB社との間に完全支配関係があるC社においてY事業に従事することが見込まれています。なお、残りの10人は本件合併に伴い退職することが見込まれています。この場合、本件合併は従業者引継要件に該当しますか。

(国税庁質疑応答事例より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【回答】

本件合併は、従業者引継要件に該当します。

 

 

 

 

 

【理由】

合併において被合併法人と合併法人との間に50%超の株式保有関係がない場合に、その合併が適格合併となるためには共同事業要件に該当する必要がありますが、この共同事業要件のうちの1つとして、従業者引継要件(被合併法人のその合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者がその合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれていることをいいます。以下同じ。)が定められています(法令4の3④三)。

この「合併法人の業務」には、①その合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務、並びに②その合併後に行われる適格合併により被合併法人の被合併事業がその適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合におけるその適格合併に係る合併法人及びその適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務が含まれることとされています。

このうち、①及び②の「合併法人との間に完全支配関係がある法人」は、被合併事業(被合併法人の合併前に行う主要な事業のうちのいずれかの事業をいいます(法令4の3④一)。以下同じ。)を行う法人に限定されていませんので、被合併事業の移転先である法人以外の法人であってもその合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人又はその合併後に行われる適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人であればこれに該当します。

ご照会の場合、合併法人(B社)の業務に従事することが見込まれている従業者60人に、合併法人との間に完全支配関係がある法人(C社)の業務に従事することが見込まれている従業者30人を加えた合計数(90人)が、被合併法人の直前の従業者の総数(100人)の80%以上となりますので、本件合併は、従業者引継要件に該当します。

 

 

 

 

 

以前は合併法人の業務に従事することが要件とされていましたので上記要旨の場合「従業者引継要件」を満たしていないと判断されていました。

 

 

 

 

 

しかしそれではグループ各社における適正な従業員のグループ内配置の妨げとなってしまうケースも考えられることから要件を緩和することにより、経営資源(従業者)を成長性などが見込める事業へ移転させることができるようになっています。

 

あすか税理士法人

【国内税務担当】高田和俊

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