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国内税務2023.10.25 【相続税】分譲マンションの評価方法改正~2024年1月より~

いよいよタワマン節税に対して税制改正が実施されます。

具体的には2024年1月1日以後の相続・贈与について、新たな通達『居住用の区分所有財産の評価について』(2023年9月28日通達)に基づいて評価が求められることになります。

 

「タワ-マンション」ではなく普通のマンションを保有しているから大丈夫、、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、今回の改正は超高層マンションだけの話しでは無く、地上三階以上の区分所有マンション(分譲マンション)が対象となるので、その影響は広範囲に及びます。

 

では具体的な通達の内容を確認していきたいと思います。

 

 

1.今までの評価方法


 

改正点を見る前に、従来の相続税評価方法について確認します。

分譲マンションにおける相続税上の評価は「建物」と「敷地利用権(土地)」に区分して行います。

 

(1)区分所有権(建物)

区分所有権(建物)=マンション全体の固定資産税評価額×専有面積(共用部分按分後)÷総床面積

建物の評価についてですが、マンション一棟の固定資産税評価額を床面積保有割合で按分して各部屋の相続税評価額が定まります。

全体の価値を床面積割合で割るので、一㎡当たりの評価額は低層階も高層階も同額となります。

一方で実際の売買価格は低層階と高層階とで異なるケースが多く、実態と相続税評価とに乖離がある状態でした。

ちなみに固定資産税では、地上60メートルを超えるマンションについて、平成30年より固定資産税額を調整する改正が入り、階が上がるごとに約0.26%ずつ税金が高くなる仕組みになっています。

 

(2)敷地利用権(土地)

敷地利用権(土地)=マンションの敷地全体の評価額×敷地権割合(※)

(※)敷地権割合は、一般的には「専有部の壁芯面積÷専有総床面積」で算出され、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)で確認可能です。

土地についても建物と概ね同様で、土地全体の評価を行った後、保有床面積割合を乗じて各所有者の敷地利用権評価額を算出します。

従って、建物と同様に建物一㎡当たりの敷地権評価額は低層階と高層階で全く同額となる仕組みでした。

 

以上のように、従来の相続税評価方法では低層階と高層階の1㎡当たりの評価額が同額でしたが、今回公表された通達により、2024年1月からは評価額が変わることになります。

 

 

2.2024年1月1日以後の評価方法


 

固定資産税の改正ではマンション全体の固定資産税額は変えずに、階毎の負担割合に変化をつけましたが、相続税の改正ではマンション全体の相続税額が変わることもあります。実勢価格の6割程度になるように補正が入ることになりました。

 

新たに公表された通達によれば、区分所有権(家屋)・敷地利用権(土地)共に

『家屋・土地評価額 × 区分所有補正率』により相続税評価額を算出します。

 

区分所有補正率は「想定時価との乖離具合に応じた補正率」とご理解下さい。

区分所有補正率を算出するために「評価乖離率」「評価水準」を算出する必要がありますので以下説明致します。

 

(1)評価乖離率

これが今回の改正の肝ですが、不動産価値に大きな影響を及ぼす要素として「A:築年数」「B:建物総階数」「C:所有階数」「D:敷地利用権の狭小具合(如何に土地に対して高層な建物か)」の四要素を挙げ、下記算式により評価乖離率を算出します。

 

評価乖離率=A+B+C+D+3.220

 

① A:築年数×△0.033

区分所有家屋の建築時から課税時期までの期間で、1年未満の端数は切上となります。

 

② B:総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切捨)

総階数指数=総階数(地階は含まない)を33で除した値(小数点以下第4位以下切捨、1を超えるときは1とする)

「33」になった理由は、高さ100メートル(1階3メートルと仮定すると約33階)を超えると緊急離着陸上等の設置指導がなされることがあるが、それ以上の階数になっても特段の追加的な規制が無い点を考慮したようです。

また、総階数指数が1を超える場合は1が上限となるのは、一定階数を超えると価格乖離に大きな影響を及ぼさないとの考え方に基づき、その一定階数を33階と定めています。

 

③ C:その所在階×0.018

何階に住んでいるのか、に応じて補正する値です。なお複数階にまたがるメゾネットタイプの場合は階数が低い方の階を所在階とし、当該専有部分が地階である場合は零階とします。

 

④ D:敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切上)

「敷地持分狭小度」は敷地利用権の面積を区分所有権に係る専有部分面積で割った値です。容積率が高いマンションほど敷地持分狭小度は高くなります。

 

(2)評価水準

「評価水準=1÷ 評価乖離率」により算出されます。

この評価水準の値によって、区分所有補正率の算出方法が変わってきます。

 

(3)区分所有補正率

① 評価水準が0.6未満の場合

区分所有補正率=評価乖離率×0.6

→ 評価額=自用地・自用家屋評価額×評価乖離率×0.6

 

② 評価水準が1を超える場合

区分所有補正率=評価乖離率

→ 評価額=自用地・自用家屋評価額×評価乖離率

 

なお、評価水準が0.6以上1以下の場合は自用地(自用家屋)のまま評価し、今回の補正は入りません。

 

(4)実例

算式も難しいので数値を用いた実例で確認します。

築5年、50階建て、45階に専有面積80㎡のマンションを所有、敷地利用権が25㎡だと仮定します。

 

A:5×△0.033=△0.165

B:1(50÷33>1  ∴1)×0.239=0.239

C:45×0.018=0.81

D:25÷80×△1.195=0.374(小数点第4位切上)

評価乖離率:△0.165+0.239+0.81△0.374+3.220=3.73

評価水準=1÷3.73=0.268 < 0.6

区分所有補正率:3.73×0.6=2.238

 

本例では、今までの評価額の約2.2倍の評価額になることになります。

 

 

3.対象となる分譲マンション


 

今回の改正の対象となるマンションは、区分所有者が存する家屋(分譲マンション)で居住の用に供する専有部分があるもので、下記二点は対象から除きます。

・地階を除く階数が2以下のもの

・居住の用に供する専有部分一室の数が3以下で、その全てをその区分所有者又はその親族の居住のように供するもの(3階建ての二世帯住宅で各階を区分所有登記しているようなケース)

本通達は分譲マンションの流通性・市場性の高さに鑑みて売買実例価額に基づく評価方法を採用したので、低層住宅や二世帯住宅は分譲マンションと市場も異なり売買実例に乏しいことから、上記2点を除外しています。

「居住の用」は構造上主として居住の用に供することが出来るものをいい、原則として登記簿上の種類に「居宅」を含むものが該当します。構造上主として居住の用途に供することが出来るものであれば、課税時期において現に事務所用として使用している場合であっても「居住の用」に供するものに該当することになっています。

 

この改正で相続税額が大きく変わる方もいらっしゃると思います。該当しそうな方は事前に情報を整理することをお勧め致します。

 

あすか税理士法人

【国際税務・国内税務担当】高田和俊