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会計制度2024.01.31 「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正

有価証券報告書等の記載内容を定めている「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正が公表されました。今回はその改正内容について、確認してみたいと思います。

 

 

1.臨時報告書の提出事由の改正


 

まず、臨時報告書の提出事由(内閣布令第19条②)に関して、新たに「財務上の特約が付された金銭消費貸借契約の締結した場合(既に締結している金銭消費貸借契約に新たに財務上の特約が付された場合を含む)」及び「財務上の特約が付された社債を発行した場合(既に発行している社債に新たに財務上の特約が付された場合を含む)」が追加されました(十二の二)。

 

なお、この条文が適用されるのは、当該金銭消費貸借契約の元本金額または社債の発行価額の総額が、直近事業年度の純資産額(連結財務諸表提出会社については連結純資産額)の10%以上に相当する場合となっています。

 

臨時報告書に記載すべき内容は以下の通りとなっています。

財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結した場合

・金銭消費貸借契約の締結をした(または、新たに財務上の特約が付された)年月日

・金銭消費貸借契約の相手方の属性

・金銭消費貸借契約に係る債務の元本の額、弁済期限及び当該債務に付された担保の内容

・財務上の特約の内容

 

財務上の特約が付された社債を発行した場合

・社債の発行をした(または、新たに財務上の特約が付された)年月日

・社債の発行価額の総額、償還期限及び社債に付された担保の内容

財務上の特約の内容

 

 

また、連結子会社が財務上の特約が付された金銭消費貸借を締結した場合や社債を発行した場合も、その元本金額(発行価額の総額)が直近年度の連結純資産の10%以上に相当する場合は、臨時報告書の提出事由となります(二十)。

 

さらに、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約または社債について、弁済期限(償還期限)の変更、財務上の特約の内容の変更(軽微なものを除く)または財務上の特約に定める事由が発生した場合も臨時報告書の提出事由となります(十二の三、二十一)。

 

 

2.有価証券報告書等の記載内容の改正


 

次に、有価証券報告書等の様式についても、改正がなされています。第三号様式(一般の事業会社が参照する有価証券報告書の様式)等が、次の通り改正されています。

 

✔ 第二部【企業情報】第2【事業の状況】5【経営上の重要な契約等】5【重要な契約等】に改められました。

 

✔ 記載上の注意(13)において、5【重要な契約等】の開示は、第二号様式(有価証券届出書の様式)の記載上の注意(33)に準じて記載することとされていますが、この記載上の注意(33)の内容が追加されました。

① 提出会社(提出会社がいわゆる持株会社の場合には、その子会社を含む)と提出会社の株主との間で以下に掲げる合意を含む契約を行っている場合

提出会社の役員について候補者を指名する権利を株主が有する旨の合意

・株主による議決権の行使に制限を定める旨の合意

提出会社の株主総会または取締役会において決議すべき事項について株主の事前の承諾を要する旨の合意

 

上記の場合は、以下の事項を具体的に記載することが求められます。

・契約の概要(契約を締結した年月日、契約の相手方の氏名・名称及び住所、合意の内容など)

・合意の目的

・取締役会の検討状況

・合意に係る意思決定に至る過程

・合意が提出会社の企業統治に及ぼす影響(影響を及ぼさないと考える場合はその理由) 

 

② 提出会社と提出会社の株主との間で以下に掲げる合意を含む契約を行っている場合で、その株主が大量保有報告書を提出した場合

株主による提出会社の株式の譲渡その他の処分について提出会社の事前承諾を要する旨の合意

株主が提出会社との間で定めた株式保有割合を超えて提出会社の株式を保有することを制限する旨の合意

提出会社による株式の発行等の行為が株主の株式保有割合の減少を伴う場合に、株主がその株式保有割合に応じて株式を引き受けることができる旨の合意

契約が終了した場合に、提出会社が株主に対してその保有する提出会社の株式を提出会社(提出会社が指定するものを含む)に売り渡すことを請求することができる旨の合意

 

上記の場合は、以下の事項を具体的に記載することが求められます。

・契約の概要(契約を締結した年月日、契約の相手方の氏名・名称及び住所、合意の内容など)

・合意の目的

・取締役会の検討状況

・合意に係る意思決定に至る過程

 

臨時報告書の提出事由に該当する金銭消費貸借契約の締結または社債の発行を行っている場合で、その期末残高が連結純資産額の100分10以上である場合

 

この場合には、臨時報告書で開示した内容と同様の内容を記載することが求められます。

※ただし、以下の部分は開示内容が変わりますので、ご注意ください。

 金銭消費貸借契約に係る債務の元本の額 → 債務の期末残高

 社債の発行価額の総額 → 社債の期末残高

 

 

また、四半期報告書や半期報告書の様式の記載上の注意も改正されており、期中に上記の契約等が締結された場合には、所定の開示が求められています。(開示すべき内容は、概ね前述の通りですが、詳細については記載上の注意をご確認ください。)

 

 

この改正に関する内閣布令は2024年4月1日より施行されますが、改正後の規定の具体的な適用時期は、次の通りとなっています。

「重要な契約」の有価証券報告書等への記載

2025年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用

※施行日前に締結された契約については、2026年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告所等までは省略可能

 

「財務上の特約」に係る臨時報告書の提出

2025年4月1日以後に提出される臨時報告書から適用

※財務上の特約に変更があった場合の臨時報告書の提出について、施行日前に締結された契約については、2026年4月1日以後に提出される臨時報告書までは省略可能

 

 

 

あすかコンサルティング株式会社

【会計コンサルティング担当】津田 佳典

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