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国際税務2024.05.01 非居住者 公的年金の課税関係とは?

 

1.はじめに


 

 

国内企業を退職し、海外に移住している方も多くいらっしゃるかと思います。
今回は、上記のような非居住者の方が公的年金を受給する場合の所得税の課税関係について確認します。

 

2.非居住者の公的年金の課税関係


 

 

非居住者の場合には、国内払い、国外払いの所得を問わず、

国内源泉所得に対してのみ税金がかかります。

そして、非居住者が過去の国内勤務により厚生年金法に基づき受給する年金は、

国内源泉所得に該当し、一律20.42%の源泉徴収がされます。

 

~源泉徴収の対象となる国内源泉所得~
支払われる年金の額-{5万円(65歳以上の場合には9万5千円)×その支払を受けるべき年金の額に係る月数}

 

このように、基本的には非居住者の国内源泉所得については日本で課税され、公的年金については源泉徴収されそこで課税関係は完結しますが、日本と租税条約を締結している国の居住者である場合には、所得税が免除される場合があります。

次で確認しましょう。

 

 

 

3.租税条約を締結している場合


 

次の場合には、手続きをすることで税法上非居住者が納めるべき所得税の免除を受けることができます。

 

①受けている年金が老齢年金の場合
②日本と滞在国が年金の受け取りに関する租税条約を締結している場合

 

~主な租税条約等締結国(令和5年1月現在)~

アメリカ(グアム、サイパン他除く)、イギリス、イタリア、インド、インドネシア、オーストラリア、韓国、シンガポール、スペイン、スイス、中国、ニュージーランド、フィリピン、フランス、ブラジル、ベトナム、香港、マレーシアなど
他にも55カ国あります。

 

 

また、日本と租税条約が締結されていたとしても年金条項がない等の理由で適用がない国(カナダ・タイ・スウェーデンなど)もありますので、

具体的には日本年金機構のHPでご確認ください。

 

①②どちらも該当する方は、「租税条約に関する届出書」を日本年金機構へ年金支払日の前々月末日までに提出することで、日本において年金から源泉徴収される所得税が免除されます。

 

 

例1)シンガポールの場合

 

まず、シンガポールとの租税条約を確認します。

 

第18条の退職年金で「過去の勤務につき一方の締約国(シンガポール)の居住者に支払われる退職年金に対しては、当該一方の締約国(シンガポール)においてのみ租税を課することができる」
とされています。

 

つまり、シンガポールの居住者(日本の非居住者)に支払われる退職年金は、シンガポールでのみ課税すると記載されています。

そのため、日本での源泉徴収が免除され、年金に係る所得税は、シンガポールでのみ課税されます。

 

 

例2)タイの場合

 

まず、タイの租税条約を確認します。
タイとの租税条約には「退職年金」にかかる規定がありません。
そこで「その他の所得」の規定を確認します。

 

1「一方の締約国(タイ)の居住者の所得(源泉地を問わない)で前各条に規定がないものに対しては、当該一方の締約国(タイ)においてのみ租税を課することができる」
2 省略
3「1の規定にかかわらず、一方の締約国(タイ)の居住者の所得のうち、他方の締約国内(日本国内)において生ずるものであって前各条に規定がないものに対しては、当該他方の締約国(日本)において租税を課することができる」
とされています。

 

つまり、タイの居住者の所得で今回のように日本の国内源泉所得については、日本で課税すると記載されています。

 

そのため、日本での年金係る源泉徴収は免除されず、日本で課税されます。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。
公的年金等を受給する場合には、受給を受ける際に所得税が源泉徴収されますが、
日本以外の国に滞在している方で非居住者に該当する場合には、源泉徴収が免除される可能性があります。

そのため、日本での課税が免除されるか否かを租税条約にて確認するようにしましょう。

 

 

あすか税理士法人

【スタッフ】渋谷優果