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国際税務2026.07.08 特定多国籍企業グループ等報告事項等の記載要領

前回は、記載要領の全体像や、実際にどのような事項を報告する必要があるのかについて、概要を整理していきました。
今回は、「特定多国籍企業グループ等報告事項等の記載要領」について具体的に確認していきます。
 
「特定多国籍企業グループ等報告事項等」に記載すべき内容は、提出義務者である内国法人がグループ内でどのような位置づけ(最終親会社等、中間親会社等、通常の構成会社等など)にあるかによって提供する情報の範囲が異なります。大きく分けて以下の3つの内容から構成されます。
 

1.基本的なグループ情報(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が課されない通常の内国法人も提供する事項)


 
グループ全体の基本的な構造や実効税率の概要に関する情報です。
• 最終親会社等の名称など、最終親会社等に係る一定の事項。
• 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等や共同支配会社等の名称、所在地国、組織構造(所有持分の保有状況など)に関する一定の事項。
• 最終親会社等を除く除外会社等の名称および類型。
• 構成会社等などの所在地国ごとの国別実効税率の水準、およびグループ国際最低課税額の水準。
• その他参考となるべき事項。
 

2. 国際最低課税額の計算に関する詳細情報(親会社等が提供する事項)


 
最終親会社等や中間親会社等に該当する場合は、上記1の基本情報に加えて、具体的な税額計算の基礎となる詳細情報を提供する必要があります。
 
• 最終親会社等に該当する場合: 所在地国ごとの国別実効税率や国際最低課税額と、それらの計算の基礎となる事項(国別グループ純所得の金額や調整後対象租税額など)を詳細に記載します。
 
• 中間親会社等・被部分保有親会社等に該当する場合: 最終親会社等と同様の記載事項のうち、自身の国際最低課税額の計算に必要な部分に限って提供します。
 
• 指定提供内国法人に該当する場合: 日本と最終親会社等の所在地国との間に「適格当局間合意」があるかどうかに応じて、最終親会社等と同等の情報、またはそれに相当する情報を提供します。
 

3.各種特例等の適用・取りやめに関する意思表示


 

国際最低課税額の計算等において、特例やセーフ・ハーバー規定を選択適用するための意思表示です。
• 除外会社等に関する特例や、各種計算の特例など、一定の規定の適用を受けようとする旨。
• 過去に適用を受けていた一定の規定の適用を受けることをやめようとする旨。
 
【今後の改正についての補足】
令和8年(2026年)4月1日以後に開始する対象会計年度からは、報告事項の名称が「グループ国際最低課税額等報告事項等」に変更されます。これに伴い、新たに創設される「国際最低課税残余額(国内最低課税額)」に関する事項の追加や、提供義務者の区分に応じた報告内容の調整が行われる予定です。
 
 

いかがでしたでしょうか。
「特定多国籍企業グループ等報告事項等」は、単にグループ情報を提出するだけではなく、提出義務者がグループ内でどの立場にあるかによって、求められる情報の範囲が大きく異なる点が特徴的です。
 
特に、最終親会社等や中間親会社等に該当する場合は、国別実効税率やトップアップ税額計算に関する詳細な情報提供が必要となるため、グループ全体での情報連携が不可欠となります。
 
実務上は、「日本法人がどこまで提出する必要があるのか」「海外親会社側で提出済みの場合、日本側では何が必要か」といった論点で判断に迷うケースも多く見られます。
 
次回は、「特定多国籍企業グループ等報告事項等」の提出が免除されるケースについて、適格当局間合意がある場合や、海外親会社側で提出されている場合など、実務上特に重要となるポイントを整理していきたいと思います。
 

 

あすか税理士法人

【スタッフ】渋谷優果