


令和5年度(2023年度)の税制改正により、日本でもグローバル・ミニマム課税(IIR:所得合算ルール)が導入されました。
これに伴い、一定規模以上の多国籍企業グループには、「特定多国籍企業グループ等報告事項等(GIR/GloBE情報申告書)」の提出義務が課されます。
この制度は、日本企業だけでなく、海外に親会社を持つ日本子会社や日本支店PE にも影響するため、実務上の対応が非常に重要です。
今回は、記載要領の全体像や、実際にどのような事項を報告する必要があるのかについて、概要を整理していきます。
グローバル・ミニマム課税(各国ごとに、最低15%以上の課税を確保するための制度)を適正に運用するため、対象となる多国籍企業グループの構成法人等は、各国の売上高、当期利益、納付税額、事業活動の性質などの情報を、e-Taxを通じて国税庁長官に提供しなければなりません。
これが「特定多国籍企業グループ等報告事項等」(通称:GIR / GloBE情報申告書)です。
提出義務があるのは、原則として「特定多国籍企業グループ等」に属する、日本国内の「構成法人」または「恒久的施設(PE)」です。
ここでいう「特定多国籍企業グループ等」とは、最終親会社等の連結財務諸表の会計年度の直前の4会計年度のうち、2以上の会計年度の連結財務諸表における総収入金額が「7億5,000万ユーロ」以上であるグループをいいます。
この基準(7.5億ユーロ)を満たすグループに属する場合、日本に本社があるグローバル企業だけでなく、海外に親会社がある日本子会社や日本支店(PE) についても、原則として提出義務の対象となります。
記載要領を読む上で、ポイントは以下の4点です。
① 原則として「英語」で記載
この報告事項は、世界各国で情報を共有することを前提としているため、英語により行うものとされています。
② 提出期限は「決算日の翌日から1年3ヶ月以内」
通常の確定申告(2ヶ月以内) とは期限が大きく異なります。
原則:対象会計年度終了の日の翌日から1 年3ヶ月以内
初回(令和6年4月以降開始事業年度):1 年6ヶ月以内
③ 「e-Tax」による電子提出が必須
この報告書は、紙での提出は認められず、e-Taxによるデータ送信(電子提供)が義務付けられています。
④記載事項
1.1 提供法人に関する事項
→提出する会社の情報を記載
1.2 特定多国籍企業グループ等に関する一般的な事項
→グループ全体の概要
1.3 組織構造に関する事項
→グループ会社の構成
1.4 国別実効税率等の水準等に関する事項
→ →各国ごとの実効税率やトップアップ税額計算に関する情報
この記載事項については、具体的に提供義務者の区分に応じた一定の事項を記載する必要があるため、次回のブログで詳細を確認していきます。

いかがでしたでしょうか。
「特定多国籍企業グループ等報告事項等」は、日本でも導入が始まったグローバル・ミニマム課税制度を支える重要な報告制度です。
特に、海外親会社を持つ日本子会社の場合、「日本法人として何を提出する必要があるのか」「海外親会社側の提出で足りるのか」といった点で迷いやすく、制度理解が不可欠になります。
次回は、実際の記載要領に沿って、提供義務者ごとの記載事項や、通知のみで足りるケースなど、実務上特に重要となるポイントを整理していきたいと思います。
あすか税理士法人
【スタッフ】渋谷優果