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国際税務2019.07.03 外国法人等の日本進出形態 その1 ~駐在員事務所~

外国人や外国法人が日本で事業活動を行うために設立するあるいは設置する事業体はどのような形が望ましいでしょうか。

主な形態として駐在員事務所、外国会社の支店、外国会社の子会社が考えられます。

今回よりそれぞれの事業体についての特徴、メリットデメリット説明していきます。

 

駐在員事務所

駐在員事務所は日本で継続取引(営業活動)に該当しない活動を行う形態です。

主な活動として下記が認められています。
①外国親会社等への日本のマーケットなどの情報提供活動
②市場調査や営業活動を行う前段階の基礎研究
③外国親会社等のための資産の購入や保管

 

継続取引とは一定の計画に基づく集団的な企業取引活動を行うことで、偶発的かつ個別的な取引は含まれません。
外国会社の日本向け製品の広告活動を行う場合は継続取引とみなされます。

 

メリット

・すぐに設置できる。
駐在員事務所は日本の法令に規定がありません。つまり登記する必要がないということです。
例えばマンションの一室を駐在員事務所と宣言してしまえばその日から駐在員事務所となります。

・日本で法人税・所得税の申告義務なし

 

デメリット

・駐在員事務所名義で不動産の賃借はできない(駐在員個人名義で契約が一般的)
・駐在員事務所名義で銀行口座開設はできない
・契約主体が駐在員個人になることがあり、個人に責任が及ぶ可能性がある
・外国親会社等からスタッフを派遣する場合はVISAの取得が必要となる

 

 

会計・税務

駐在員事務所は日本で法人税・所得税の申告する必要はありません。
収益活動ができない事業体のため、所得が発生しないからです。
駐在員事務所で発生した経費は外国親会社等に取り込まれることとなります。

 

ただし、駐在員事務所の駐在員に日本で給与を支払う場合は税務署へ「給与支払事務所の開設届」を提出し、毎月の給与計算を行う必要があります。
毎月の給与計算では給与から日本の所得税を天引きし(翌年以後は住民税も)、翌月10日までに納付する必要が発生します。

外国法人等から直接本人へ支払う場合は源泉徴収は不要ですが、日本国内勤務に対応するものは日本で確定申告が必要になります。
駐在員事務所に申告義務はありませんが、駐在員個人は申告義務が発生するので注意が必要です。

 

 

社会保険

日本で給与を支払う場合は日本の社会保険への加入も義務となります(駐在員が5人未満であれば任意です)。
外国法人等から本人へ直接支払う場合は国内払い給与がないため加入の必要はありません。

 

労働保険

駐在員が1名の場合は、その者を代表者とみなすため原則加入ができません。
2名以上の場合は加入することが可能です。

 

次回は日本支店について解説します。