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国際税務2026.04.29 マレーシア出張へ行ってきました

ラブアン法人設立が盛り上がっていた時以来、久しぶりにマレーシア出張へ行ってきました。

今回はクライアントの日・マレーシア間の会計・税務に関する問題解決が主目的でした。2泊3日の弾丸出張でしたがマレーシアの空気感、活気を改めて感じることができたので有意義な旅となりました。

久しぶりのマレーシアの印象は物価がほぼ日本と同水準になっていた!です。
もちろん賃金格差はまだまだありますが、私がよく飲むスターバックスのカフェラテの値段は日本とほぼ同じ金額でした。
ホテルの値段も日本の主要都市を大きな差はない感覚です。
現在1RM=40円ほどと円安の影響もありますが、マレーシアの物価がものすごく上昇したというよりは日本円が相対的に弱くなっているという肌感覚です。

 

ビジネス環境はというと、税制面では突出したメリット・デメリットがない環境という印象です。
シンガポールからクアラルンプールまで飛行機で1時間程度にもかかわらず、物価はシンガポールよりもはるかに低く、英語が通じるという点は非常にメリットだと感じます。
税率面では法人税・所得税ともに日本よりは低いですが、他のアジア圏の国と比較してメリットを感じるほどの税率ではありません。
とはいえ、中華系のマレー人が多くしっかり仕事は行いつつ、食事も美味しく、治安も悪くはないので住環境としては好印象でした。

 

今回のブログでは、マレーシアでご訪問させて頂いた会計事務所の先生方から伺った内容を簡単に紹介したいと思います。

 

1.法人・個人課税の基本制度


 

1)法人税とキャピタルゲイン・配当課税 法人税・配当課税

• 法人税・配当課税:マレーシアの現行の法人税率は24%です。また、マレーシアでの受取配当は原則非課税とされています

キャピタルゲイン課税:株式や不動産などの譲渡益(キャピタルゲイン)は一般的に非課税とされていますが、不動産譲渡益税が別途存在したり、近時一部で課税が導入されたりと、対象によって課税される場合があるため注意が必要です。

 

2)個人の所得税

• 個人の最高税率は30%となっています。日本のような「年末調整制度」が存在しないため、個人で所得税の申告をすることが必須となります。駐在員や出向者においても個人申告が必要です。

マレーシア税務当局(HASiL)のウェブサイトのページ情報において、所得税全般の課税対象として「雇用からの所得、事業、配当、賃貸料、ロイヤルティ、年金、およびその他の所得」が規定されています。

 

2.源泉徴収と租税条約の実務上の取り扱い


 

1)非居住者への役務提供対価(サービスフィーなど)

租税条約と現地実務のギャップ:非居住者が提供する業務委託や技術支援などのサービスに対する対価について、租税条約上は「免税(ゼロ)」と主張できるケースであっても、マレーシアの税務実務においては、税率10%の源泉徴収を求められるケースが多くなっています

日本では租税条約における「事業所得」に該当すると判断しても、マレーシア当局において「事業所得」ではなく「その他の所得」の枠組みで国内法の課税に寄せて解釈する傾向があり、免税の適用は実務上ハードルが高いのが現状です

 

なお、租税条約に基づく「税率の低減」交渉 ゼロ(免税)の適用は難しくとも、ケースによっては条約に基づく減免(税率の引き下げ)が実務上認められる場合があります

例えば、日本とマレーシアの租税条約に比べ、シンガポールとマレーシアの租税条約(星馬条約)には技術料等に関する規定があり適用整理がしやすいため、実務上7〜8%程度への税率低減が適用された事例が存在します。

 

2)日本側での外国税額控除リスク

 マレーシア側で実務上源泉徴収が行われた場合、日本側でその税額を控除(外国税額控除)できるかが論点となります

条約上は免税であるべき税を現地で徴収された場合、日本当局から控除を否認されるリスク(二重課税となる可能性)が存在するため、案件ごとの事前確認が重要です。

 

3.持株会社(ホールディングス)と国外源泉所得の留意点


 

1)配当収入中心の持株会社における経費算入制限

統括会社機能をマレーシアへ移管する事例が一定数ありますが、配当収入に偏り「投資会社(持株会社)」として扱われると、経費の損金算入範囲が制限されるリスクがあります

事業所得と投資所得が混在する場合、一定の割合方式(按分など)の独自計算が適用されるため、実体ある事業収益を拡大させるなどの対策や事前の設計が求められます

 

2)国外源泉所得の取り扱い

マレーシア国内に持ち込まない「国外源泉所得」については、原則として非課税となるルールが存在します

ただし、ビジネスの実態や契約当事者がマレーシア法人である場合、入金口座が海外であってもマレーシアの課税対象と評価されるリスクがあるため、実態に即した慎重な運用が必要です。

 

3)その他の実務上のポイント
マレーシアのグローバル・ミニマム課税(Pillar Two)は、2027年の申告期日からの導入が予定されています
税務調査については、メールベースの軽い質問から始まる照会が多く見受けられます。また、創業初年度の費用が損金として否認されやすい事例もあるため、根拠資料の整備が重要です。

 

マレーシアへの進出や取引においては、法令上の規定だけでなく、源泉徴収に関する現地当局の実務運用など「現場のリアルな取り扱い」を把握しておくことが不可欠です。事業の実態を踏まえ、現地の税制変更やコンプライアンス要件に合わせた事前の準備をしっかりと行いましょう。

 

下記、現地でお会いした専門家の先生方です。

皆様それぞれに得意領域をお持ちで信頼できる方々です。

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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