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国内税務2020.07.22 会社分割の考察(2020年7月20日公表ソフトバンク-U-NEXT)

ソフトバンクがU-NEXTにアニメ専門コンテンツ配信サービスである「アニメ放題」を会社分割という手法を使って承継するそうです。

 

 

 

以下個人的な趣味で考察してみます。

 

 

 

 

 

 

〇 目的について

 

ソフトバンクのホームページで「経営資源の効率化」という文言が出てきています。

 

M&Aの目的で良く出てくる言葉ですが、手間のかかる事業を手放してコア事業に注力する!とか、事業を譲り渡した対価を元手に他の事業に投資する!とか、この事業今は儲かっているけど将来性ないよな・・・今のうちに売っちゃえ!とか、今赤字でお金ないから事業売って補填する!とか、何にでも使える言葉ですね。

どちら側から打診があったのか定かではありませんが、ビジネスの世界ですのでどちらにもそれなりの思惑があったに違いありません。

 

 

 

〇 スキームについて

 

ソフトバンクを吸収分割会社、U-NEXTを吸収分割承継会社とする「簡易吸収分割」ということが公表されています。

 

「簡易」というのはこの分割によって減少する総資産が全体の純資産額の10%未満であり、かつ、売上高の減少率が3%未満であると見込まれる会社分割の場合に株主総会などの手続きを省略できるものです。

 

「吸収分割」ですが「非適格分社型吸収分割」であると推測できます。

 

分割対価が金銭(250百万円)ということから「税制非適格」であること、分割型ですとソフトバンクの株主に金銭が分配されてしまい、みなし配当が生じてしまうこと(これはめんどくさいです)から「分社型」であることが推測できます。

 

 

 

〇 会計処理について

 

移転する資産及び負債がないこと、増減する資本金がないことが公表されていますので以下のような会計処理が行われると推測できます。

 

(ソフトバンク)

現金預金 250百万円 / 事業譲渡益(消費税不課税) 250百万円

 

(U-NEXT)

のれん(消費税不課税) 250百万円 / 現金預金 250百万円

 

シンプルですね。ソフトバンクの事業譲渡益はその年度の所得として法人税等が課されます。

U-NEXTののれんは5年で償却され損金となります。

組織再編による包括承継により発生するのれんは消費税不課税となります。

ちなみによく似た手法の事業譲渡で発生するのれんは消費税課税ですので注意が必要です。

 

 

 

以上となります。組織再編というと敷居が高そうなイメージですが、大手企業では小規模なものを含めると割と頻繁に行われています。

 

もちろん中小企業のグループ再編でも使いようによっては大きなメリットを享受できることがあります。

 

ただし、スキームの選定には高度な知識が必要となりますので専門家への相談をおすすめします。

 

 

 

あすか税理士法人

【国内税務担当】高田和俊

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