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国内税務2017.11.13 スピンオフに係る組織再編税制について

スピンオフとは、会社の一部門を分離独立させ、別会社として経営させることです。

 

 

 

大企業では不採算部門の分離やコングロマリットディスカウントを解消するために用いられますが、中小企業でも会社を分けることで法人税の軽減税率を使える額が増えるなど税負担軽減に有用です。

 

 

 

税法用語でいうと「単独新設分割型分割」と言うのですが、以前は特定の者に支配されていない会社が行うものについて、移転する資産を時価で売ったものとして譲渡益に課税されたり、株主に配当がされたものとして課税されたり、税制的に不利な扱いを受けていました。

 

 

 

現在は下記の要件を満たす場合、上記のような不利な扱いを受けることがなくなっています。

 

 

 

① 金銭等不交付要件

 

 

この仕組みを使うにあたって動くものは新しく作られた法人の株式のみであること。(原則としてお金は動かない)

 

 

またその株式は分離元の法人の株主にその保有割合に応じて分配されること。

 

 

 

② 非支配要件

 

 

この仕組みを使った後、新しく作られた法人が他の者に支配されない見込みであること。

 

 

 

③ 役員引継要件

 

 

分離元の法人の役員や重要な使用人のいずれかが、新しく作られた法人の一定の役員となる見込みであること。

 

 

 

④ 主要資産負債移転要件

 

 

分離される事業の主要な資産及び負債が新しく作られた法人に移転していること。

 

 

 

⑤ 従業者引継要件

 

 

分離される事業に係る従業者のおおむね80%以上が新しく作られた法人の事業に従事する見込みであること。

 

 

 

⑥ 事業継続要件

 

 

分離される事業が新しく作られた法人で引き続き行われる見込みであること。

 

 

 

かなり複雑ですが、要は会社を分けただけで実体は変わりませんよということであれば課税されないということです。

 

 

 

スピンオフに限らず、今ある組織の問題点を解決する方法として、組織再編税制は特効薬となる可能性を秘めています。しかしこの税制は複雑で、その手法も多種多様です。税金やコストなどを考慮の上で最善の方法を模索する必要があります。

 

 

 

あすか税理士法人

【国内税務担当】高田和俊

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