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国際税務2020.12.23 CRSの実施状況。国外財産の申告漏れによる罰則は大きい

CRS(Common Reporting Standard)という海外の金融機関の情報を各国の税務当局と自動的に交換する報告基準が実施されて2年が経ちます。

2020年11月27日付の日経新聞で富裕層の追徴課税が259億円と過去最高となったと掲載されていました。

記事内でも「CRSの情報は非常に確度が高く、威力を発揮し始めている」とされており、今後ますます利用されていくことが想定されます。

 

では、CRSによりどの程度の情報が交換されているのでしょうか。

 

1.CRSの実施状況


 

まず、CRSの報告対象となる口座は、普通預金口座等の預金口座(Depository Account)、貯蓄性の保険契約・年金保険契約(Cash Value Insurance Contract, Annuity Contract)、証券口座等の保管口座(Custodial Account)及び信託受益権等の投資持分(Equity Interest)とされ、報告の対象となる口座情報は、口座保有者の氏名・住所、納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等とされています。

 

(2018年7月~2019年6月の1回目の実施状況)

受領 提供
国・地域数 口座数 国・地域数 口座数
アジア・大洋州 11 445,919 10 74,770
北米・中南米 15 41,995 9 6,261
欧州・NIS諸国 40 232,492 35 8,895
中東・アフリカ 8 24,580 4 229
合計 74 744,986 64 90,155

 

(2019年7月~11月の2回目の実施状況)

受領 提供
国・地域数 口座数 国・地域数 口座数
アジア・大洋州 14 1,467,369 11 373,883
北米・中南米 19 96,288 11 33,523
欧州・NIS諸国 41 294,636 37 64,078
中東・アフリカ 11 32,747 5 2,173
合計 85 1,891,040 64 473,657

2019年は189万件の情報を税務当局は受領しており、個人や法人の1億円以下の口座も対象となっています。

 

 

 

2.国外財産調書の概要(申告漏れを防ぐために)


 

日本の居住者はその年の12月31日時点で国外財産の価額が5,000万円を超える場合は国に報告する義務があります。この報告する書類のことを国外財産調書といいます。

この書類を提出することで税務当局に海外の資産を明らかにし、正しい申告を行っている事をアピールします。

 

5,000万円の基準は12月31日時点の時価が原則です。例えば、海外の銀行に送金した金額は4千万円だったが為替や投資商品の時価変動で12月末時点で円換算すると5千万円を超えている、こういった場合は提出義務が発生します。勘違いされるケースが多いので注意です。

 

この国外財産調書の提出せず(若しくは特定の国外財産を記載せず)、国外財産に関する申告漏れを指摘された場合は罰則の税率が増加します。

具体的には申告漏れや無申告に係る過少申告加算税(通常は最大15%)又は無申告加算税(通常は最大20%)についてさらに5%加重されることとなります。

一方で提出している場合は5%減免となりますので提出しているかしていないかで大きな差となります。

 

 

3.国外財産調書に関する主な改正(2020年改正)


 

①相続開始年分の国外財産調書については、相続国外財産を記載せず提出することが可能となりました。

これは遺産分割が完了していないことや相続開始年では国外財産をすべて把握しきれていないことなどが想定されることからの改正と考えられます。

 

②所得税の税務調査の際に、国外財産に関する書類を指定された期限までに提示しない場合は、過少申告加算税等の減免措置を受けられないこととなりました。

これまでは国外財産調書に財産を記載さえしていれば減免を受けられましたが、今後は税務調査の際に税務当局から求められた資料を提出しなかった場合は5%の加重をされることになりました。

 

課税される所得のあるなしに関わらず、海外の銀行口座、海外の保険、国外の株式、に関する資料は可能な限り残しておくようにしてください。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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