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国際税務2022.04.20 香港は進出先・移住先として理想的か~香港と日本の税制比較~

進出国、移住国を検討する際に現地の税制を知ることは必須と言っても過言ではありません。
日本の税制との比較も重要です。

今回は香港の優遇税制の紹介と日本の税制との違いについて解説したいと思います。
※投稿日時点の情報に基づいているため、最新の情報は専門家にお問い合わせください。

 

1.概要


 

香港には大きく事業所得税(法人税)給与所得税資産所得税の3種類の税金があります。
日本のように地方税がないため、法人税=実効税率となります。

上記のうち、法人には事業所得税並びに資産所得税が課税され、個人には給与所得税が課税されます。

 

事業所得税(法人税)は利益のうち200万香港ドルまでは8.25%、それを超える部分は16.5%が課税されます。
個人事業主やパートナーシップについては、200万香港ドルまでは7.5%、それを超える部分は15%の税率となります。

 

給与所得税15%又は2~17%の累進税率の選択制となっています。
給与等だけでなく、香港で提供されたサービスに対する収入や年金も課税対象となります。
なお、租税協定により、連続する12ヶ月のうち香港滞在日数が183日以内の外国籍の個人は給与所得税が課税されないこととなっています。

 

資産所得税は香港の土地の権利又は建物の所有者に対して、家賃収入から固定資産税とみなし経費として収入の20%を控除した残額に15%の税率が課されます。
ただし、法人がこの収入を事業所得税の計算に含めるとした場合は、資産所得税は課税されないこととなります。

 

2.特徴


 

①申告納税方式ではなく、賦課課税方式。
納税者は税務当局へ情報申告書を提出し、税務当局は提出された情報を査定した上で、賦課決定します。

 

②属地主義
香港は基本的に属地主義を採用していることから香港国内を源泉地とする所得にのみ課税され、香港国外所得は課税されません。
内外法人、居住者、非居住者で課税所得の範囲に違いはありません。

 

③欠損金は永久に繰越可能
租税回避を疑われる場合は制限されます。

 

④受取配当金は非課税
内外法人いずれからの配当であっても非課税です。

 

⑤キャピタルゲインは非課税
投資有価証券や不動産の売却益は課税されませんが、投機目的の短期間に売買を繰り返すような場合は事業所得として課税される可能性があります。

 

ロイヤルティは源泉徴収の対象
外国法人及び非居住者に対してロイヤルティの支払いをする場合、法人への支払は4.95%、法人以外への支払は4.5%の税率が適用されます。
なお、一定の関連者間への支払は香港法令で16.5%又は15%の税率が課税されますが、日本法人への支払は租税協定が優先されるため5%が限度税率となります。

 

 

 

3.日本との比較


 

主な比較項目は以下の通りです。

 

いかがでしょうか。税制面では香港の方が優遇されていると言わざるを得ません。
ただ、日本法人の子会社の場合は移転価格税制、タックスヘイブン対策税制、国外関連者への寄附金といった日本の税制を考える必要がありますのでご注意ください。

住環境や生活コスト、教育面など実際に住むには考える事は多くありますが、参考になればと思います。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆