お問い合わせ

BLOGブログ

国内税務2021.05.07 介護保険金を保険料負担者以外の者が受け取る場合

低解約返戻金型保険の名義変更プランについてパブリックコメントの募集が始まりました。

こちらを要チェック→【税制改正】低解約返戻金型保険の名義変更節税に対する課税案~パブコメ~

 

 

 

その他にも保険関連では、介護保険金で被保険者以外の者が受取人となっているものについて国税庁が注視しているようです。

 

 

 

何が問題となっているのか見ていきましょう。

 

 

 

 

 

 

介護保険金は所得税法上、非課税とされています。

 

 

 

これは、身体の傷害から生じる介護費用などの支出の穴埋めとして支払われるものであり、支払いを受けても担税力が増加しない点が考慮されているためです。

 

 

 

さらに、配偶者など一定の親族が保険金の支払いを受ける場合も被保険者と同一の財布として介護費用などの負担が想定されるため非課税とされています。

 

 

 

また、保険料の負担が被保険者、受取人が配偶者など一定の親族の場合、相続税法上、みなし贈与の対象からも除外されているため無税で次世代に金銭を移転できると考えられています。

 

 

 

しかし、比較的軽度な介護状態でその想定される介護費用に比べて支払われる保険金が多額となっているケースもあり、税負担の軽減を主な目的として受取人を被保険者以外の親族に設定しているような場合には、所得税法で想定する介護保険には当たらないものとして,非課税とされない可能性があるとのことです。この場合、保険金の受取人は一時所得などとして課税されることが考えられます。

 

 

 

個人的な見解としては、受取人が保険料負担者以外となっていることに焦点を当てる場合には、所得税よりも贈与税の方が問題だと感じます。

 

 

 

所得税については「比較的軽度な介護状態でその想定される介護費用に比べて支払われる保険金が多額」というのが問題であり(担税力があると考えるべき)受取人が誰かというのは関係ないように感じます。

 

 

 

受取人が保険料負担者と同一の場合は、障害の等級ごとに非課税とされる金額に上限を設けて、それを超える部分については一時所得として所得税が課税されるような方向に行くのではないでしょうか。

 

 

 

受取人が保険料負担者以外の場合は、無税で金銭を移転できてしまうので贈与税の問題が大きいです。受け取った保険金から介護費用を支出するとは限りません。保険料負担者=被保険者が多額の現金を保有している場合、そこから支出することもできます。

 

 

 

これについても障害の等級ごとに非課税とされる金額に上限を設けて、それを超える部分について贈与税の対象とする方向に行くのではないでしょうか。(この場合所得税は二重課税になってしまうので非課税)また、受取人が介護費用を支出することも要件に追加されるかもしれません。

 

 

 

参考に現在の法律及び通達もご紹介いたします。(カッコなどを除いて読みやすくしております)

 

 

 

所得税法第9条  非課税所得

次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十八 損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

 

 

 

所得税法施行令第30条  非課税とされる保険金、損害賠償金等

法第9条第1項第18号に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金は、次に掲げるものその他これらに類するものとする。

一 損害保険契約に基づく保険金、生命保険契約又は旧簡易生命保険契約に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金

 

 

 

所得税法基本通達9-20  身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等

令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。

(注)いわゆる死亡保険金は、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」には該当しないのであるから留意する。

 

 

 

相続税法第5条  贈与により取得したものとみなす場合

生命保険契約の保険事故(傷害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く。)が発生した場合において、これらの契約に係る保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、これらの保険事故が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金のうち当該保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額のこれらの契約に係る保険料でこれらの保険事故が発生した時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を当該保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなす。

 

 

 

保険については国税庁の方針次第でころっと取り扱いが変わるリスクがあります。

過去に遡って取り扱いが変わるケースもあります。

 

 

 

節税目的で加入する場合はそういったリスクも理解した上で清濁併せ呑む覚悟で意思決定すべきだと思います。

 

 

 

あすか税理士法人

【タックスプランニング担当】 大井 幸助

プロフィールはこちらをご覧ください!