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国際税務2026.03.18 源泉徴収の対象となる国内源泉所得の取り扱い〜国内法と租税条約の違いを簡単に解説〜

非居住者や外国法人に支払いを行う際、源泉徴収の対象となる「国内源泉所得」について、原則となる日本の国内法と、相手国との間に締結されている「租税条約」とで課税上の取り扱いが異なる場合があるのをご存じでしょうか。 今回は、主な国内源泉所得ごとの国内法と租税条約における取り扱いの違いについて解説します。

 

1.利子、配当、使用料等の取り扱い


 

1)利子等・貸付金の利子

国内法:公社債や預貯金の「利子等」は源泉徴収の対象となります。また、「貸付金の利子」については、国内で業務を営んでいる者に対するその国内の業務に使用される貸付金等の利子に対して源泉徴収を行う「使用地主義」を採っています

租税条約:預貯金等の利子と貸付金の利子を同一カテゴリーとして包括的に規定し、債務者の居住地国を源泉地とする「債務者主義」を採っているのが一般的です

 

2)配当等

国内法:内国法人から受ける剰余金の配当等の支払の際に源泉徴収(15.315%や20.42%など)を要します

租税条約:多くの条約で源泉地国と居住地国の双方で課税できる旨を規定していますが、一定の親子会社間の配当については限度税率が10%や5%等に軽減される場合や、一定の居住者につき免税としているものもあります。

 

3)使用料等(特許権や著作権など)

国内法:支払者の「国内業務に係るもの(国内で業務の用に供されている部分)」に対して源泉徴収を要するという「使用地主義」を採っています

租税条約:受領者の居住地国において課税することを前提としつつ源泉地国でも課税できる旨を規定しているものが多く、また、国内法における使用地主義ではなく債務者の居住地国を源泉地とする「債務者主義」を採っているのが一般的です。日米租税条約などのように、一定の条件の下で源泉地国免税としている条約もあります

 

 

2.不動産取引と組合契約事業の取り扱い


 

1)土地等の譲渡対価・不動産の賃貸料等

国内法:国内にある不動産の譲渡対価や賃貸料は源泉徴収の対象とされています

租税条約:不動産の譲渡や賃貸料については、租税条約でもその不動産の所在地国に課税権を認めているのが一般的であり、不動産所在地国において課税できることとされています

 

2)組合契約事業から生ずる利益の配分

国内法:民法上の組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益の配分については、源泉徴収の上、総合課税の対象となります

租税条約:「事業所得」の条項が適用されるため、恒久的施設が存在しない場合や、存在していても利益がその恒久的施設に帰属していない場合には、日本において課税されません。

 

3.利子、配当、使用料等の取り扱い


 

1)人的役務の提供事業の対価

国内法:芸能人、自由職業者、専門家などの「人的役務の提供を主たる内容とする事業の対価」で、日本国内で行われるものに対して源泉徴収を行います

租税条約:一般の事業所得と同様に整理され、恒久的施設を通じて事業を行わない限り日本の租税は免除されることとなります。ただし、芸能人や運動家の役務提供については、恒久的施設の有無にかかわらず役務提供地国において課税することとしている条約が多くなっています

 

2)給与等の人的役務の提供に対する報酬等

国内法:原則として「国内において役務の提供が行われたもの(国内勤務)」に対して源泉徴収をします

租税条約:役務提供地国(日本)で課税するという原則は国内法と同様ですが、滞在期間が183日を超えないこと等の一定条件を満たす「短期滞在者」に対する給与等については、源泉地国での課税を免除する特例が設けられています

 

このように、非居住者等に対する支払いにおいては、国内法上の規定だけでなく、支払い相手の居住地国との「租税条約」の内容をチェックすることが不可欠です。

租税条約に基づく軽減又は免除を受けようとするときは、支払の日の前日までに所定の事項を記載した「租税条約に関する届出書」を源泉徴収義務者を経由して税務署に提出する必要がありますので、事前の準備をしっかりと行いましょう

 

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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