お問い合わせ

BLOGブログ

国際税務2025.07.09 消費税内外判定に係るQ &A

今回は消費税の内外判定の誤りやすい事例について、Q &A形式で整理していきたいと思います。

 

Q&A


 

 

1.日本に事務所等を有さない外国法人から、日本に保有するビルの点検や修繕業務を請け負いました。その売上の消費税判定はどうなりますか?
 
国内取引に該当し課税売上。
今回、国内で行う外国法人である非居住者に対する役務提供であるため、輸出免税では?と思われる方もいるかもしれませんが、輸出免税は適用されません。
 
非居住者に対するものであっても、国内に所在する資産の運送や保管、国内における飲食または宿泊、国内において直接便益を受けるものについては、消費税は免除されません。
国内で直接便益を受けるものには、国内に所在する不動産などの管理や修理、建物の建築請負が含まれますので、輸出免税とはならず、課税売上となります。
 
 
2.国内X社は、外国法人Y社へ、ソフトウェアのシステム設計・開発から納品までを行いました。納品はインターネットを通じてY社のサーバーに格納して納品する形をとっています。この場合消費税判定はどうなりますか?
 
輸出免税売上。
ソフトウェアは、プログラムの著作物として著作権法上の著作物に該当し、著作権は著作物を制作したX社にあると考えられます。
著作権等の譲渡又は貸付を行う者の住所地で判定するため、今回のケースでは国内X社の住所地で判断しますので、国内取引に該当し、相手が非居住者であるため輸出免税が適用されます。
 

※電気通信利用役務の提供には該当しない点留意が必要です。
電気通信利用役務の提供とは、資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物の提供、その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。
→『他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供は除く』とされています。今回のケースでは、インターネットは単なるソフトウェアの制作依頼による完成品の受け渡しの手段として使われただけであるため、電気通信利用役務の提供には該当しません。

 
 

 
 
3.国内に支店等を有する非居住者へ役務提供をした場合、輸出免税が適用されますか?
 
輸出免税が適用されるためには要件を満たす必要があります。
 
原則、国内に支店等を有しない非居住者への役務提供は、一定の取引を除いて基本的に輸出免税です(1.参照)。
 
例外として、国内に支店等をを有する非居住者への役務提供は、まず「国内の支店、出張所等を経由して役務の提供を行ったもの」と取り扱われ、輸出免税は適用されません。
非居住者の国内の支店や出張所・事務所等は、法律上の代理権があるかどうかにかかわらず、その本店等が外国にある場合においても居住者とみなされます。
 
ただし、次の要件を全て満たす場合には、非居住者に対する役務提供のとして輸出免税が適用されます。

① 事業者は外国法人等の国外の本店又は主たる事務所に対して直接役務の提供を行っているものであり、当該外国法人等の国内の支店、出張所等はこの役務提供に直接的にも間接的にも関わっていないこと。

② 役務の提供を受ける外国法人等の国内の支店、出張所等の業務は、この役務の提供と同種、あるいは関連した業務でないこと。

 
要件を満たす場合には、輸出免税適用の証明となるような契約書や書類の整備が重要になります。
 
 
4.外国法人とのWEBを利用したリモート面談・会議の対価を外国法人から受領した場合の消費税の判断はどうなりますか?
 
輸出免税が適用されます。
原則、役務提供が行われた場所がどこかで判定しますが、リモート会議のように役務提供が国内と国外で連続して行われ、役務の提供が行われた場所が明らかでない場合には、役務提供に係る事務所等の所在地で判定します。
そのため、今回のケースでは、役務提供に係る事務所等の所在地は国内であることから、国内取引となり、非居住者に対する役務提供であるため、輸出免税の対象となります。
 
 
いかがでしたでしょうか。
消費税の内外判定は処理をする上で非常に重要となります。
ご参考になれば幸いです。

あすか税理士法人

【スタッフ】渋谷優果