お問い合わせ

BLOGブログ

国内税務2025.04.23 地域未来投資促進法~地域経済の活性化を~

今回は新たに工場を新設する場合などに受けることができる支援措置である地域未来投資促進について令和7年4月以降の制度をご紹介していきたいと思います。

 

 

1.概要


 

2017年に7月に施行された「地域未来投資促進法」は、地域の特性を生かして、高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす「地域経済牽引事業」を促進することを目的とする法律です。
市町村・都道府県が作成した「基本計画」に基づき事業者が作成する「地域経済牽引事業計画」を、都道府県知事が承認します。
また、地域経済牽引事業の支援を行う「地域経済牽引支援機関」による「連携支援計画」を国が承認します。

(経済産業省より引用)

 

対象地域はこちらになります。

 

支援の内容は次のとおりです。

・税制による優遇措置

・金融による支援措置

・規則の特例措置等

・予算による支援措置

 

このうち、税制による優遇措置及び金融による支援措置を確認いたと思います。

 

 

2.税制による優遇措置


 

・地域未来投資促進税制

地域経済牽引事業に従って建物・機械等の設備投資を行う場合に、法人税等の特別償却(最大50%)又は税額控除(最大6%)を受けることができます。

支援を受けるための流れは


引用:経済産業省  

①都道府県へ地域経済牽引事業計画の策定・申請

②計画の承認

③経済産業局へ確認申請

④確認書発行

⑤投資する設備の取得

⑥確定申告

という流れとなります

 

主な優遇措置を受けるための要件及び内容は

 

・通常類型

要件:事業に先進性があり、労働生産性の伸び率4%以上または投資収益率5%以

設備投資額が1億円以上かつ、投資総額が前年度の減価償却費の25%以上

措置:建物・建物附属設備・構築物→特別償却20%又は税額控除2%

機械装置・器具備品→特別償却35%又は税額控除4%

 

・上乗せ類型A

要件:通常類型に加え、労働生産性の伸び率5%以上、かつ、投資収益率5%以上

であり、付加価値額を1億円以上創出(ただし、未来法上の中小起業者は

労働生産性の伸び率4%以上)

かつ、次のいずれかの要件に該当する必要があります。

①直近事業年度の付加価値増加率が8%以上

②直近2事業年度の平均付加価値額が50億円以上で、3億円以上の付加価値額を創

 出

③地域経済の成長と発展に資する業種に該当する事業であり、設備投資額が10億

 円以上

措置:建物・建物附属設備・構築物→特別償却20%又は税額控除2%

機械装置・器具備品→特別償却50%又は税額控除5%

 

・上乗せ類型B

要件:上乗せ類型Aのうち①、②に加え、経営力の確認を受けた、産業競争力強

化法第34条の2第1項に規定する特定中堅企業であって『パートナーシップ

構築宣言』の登録を受けており、かつ、当施設備額10億円以上であること

措置:建物・建物附属設備・構築物→特別償却20%又は税額控除2%

機械装置・器具備品→特別償却50%又は税額控除6%

 

注意点

引用:経済産業省

  • 対象資産の工事の着工については地域経済牽引事業計画の承認後であることが必要

です。

  • 地域経済牽引事業計画の承認後であっても、経済産業局の確認前に対象資産を取得した場合には、本税制措置の対象となりません。
  • 対象資産の取得価額の合計額のうち、本税制措置の支援対象となる金額は80億円が限度となります。
  • 税額控除は、その事業年度の法人税額等の20%相当額が限度となります。
  • 対象資産を貸付けの用に供する場合や中古資産の対象資産の取得は本税制措置の対象となりません。

その他の詳細は国税庁のホームページをご確認ください。

 

・固定資産税・不動産取得税の課税免除または不均一課税

各都道府県・市町村の条例により、地域経済牽引事業の実施に必要な土地・建物等について、固定資産税・不動産取得税の課税免除または不均一課税を受けられる場合があります。

土地、建物取得による不動産取得税の課税免除や土地、建物、償却資産に係る固定資産税の一定期間の課税免除を受けることができる場合があります。

自治体により取扱いが異なるので確認をしていただくことが必要となります。

 

 

3.金融による支援措置


 

・日本政策金融公庫からの固定金利での融資

地域経済牽引事業の実施に必要な資金について、日本政策金融公庫から固定金利での貸付けを受けることができます。

  • 制度の利用手順
  • ①地域経済牽引事業計画の承認申請
  • 地域経済牽引事業計画の承認
  • ③貸付けの申込み
  • 審査を経て貸付けの決定

 

  • 貸付対象等(中小企業事業)

貸付対象:特定事業者

資金使途:設備資金・長期運転資金

貸付期間:設備資金→20年以内(うち据据置期間2年以内)

:長期運転資金:→7年以内(うち据置期間2年以内)

貸付限度:7.2億円

貸付利率:設備資金→基準利率から2.7億円を限度として最大0.9%引き下げ(※)

:長期運転資金→基準金利

(※)以下のいずれかの条件を満たす場合には、0.9%引き下げとなります。

①新規開業して7年以内であるもの②困難な経営状況にあるもの③公庫と民間金融機関が連携支援を図るもの

なお、複数事業者が共同で承認事業を行う場合には、単独で法律上の承認基準を満たし。かつ、上記のいずれかの条件を満たす必要があります。

 

信用保証協会による債務保証

地域経済牽引事業の実施に必要な資金について、金融機関等からの借入れの際に、通常の保証限度額とは別枠で、信用保証協会による保証を受けることができます。

また、M&Aによる事業承継に伴う資産・株式等の必要資金を金融機関等あkら借入れる場合、経営者保証を求めることなく、信用保証協会による保証を受けることができます。

・日本政策金融公庫による海外展開支援

地域経済牽引事業に資する海外事業展開について、日本政策金融公庫により、海外子会社への直接貸付や信用状の発行を受けることができます。

・庫が現地金融機関からの借入にたいして信用状を発行します(スタンドバイ・クレジット)

・公庫が海外子会社に直接貸付けを行います。(クロスボーダーローン)

・その他の金融による支援措置

 

・地域経済牽引事業の実施に必要な資金について、資本金が3億円を超える株式会社であっても、 中小企業投資育成株式会社からの出資を受けることができます。

・地域経済牽引事業の実施に必要な資金について、食品等流通合理化促進機構による保証やあっせんを受けることができます。

その他、補助金等の申請の際に加点されるなど、様々な優遇がございます。

地域未来投資促進法の一覧こちら

工場等、新たな拠点を設置される場合の参考になれば幸いです。

 

あすか税理士法人

白川 達也