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国際税務2021.02.24 非居住者でも住民税が課税される場合って?

非居住者の場合、住民税は課税されるのかという点について海外出向される方、海外から帰国された方、移住を考えている方、外国人の方などからよくご質問を頂くので今回は個人の住民税についてご紹介いたします。

 

所得税法上の居住者・非居住者判定は2019年9月4日にご紹介した「複数の国に滞在している場合の居住者判定」のブログに記載しているように、実態を鑑みて判定することとなっています。

 

では住民税の居住者判定はどのように行うのでしょうか。

 

1.住民税はその年の1月1日に日本に住所があれば課税される?


 

個人の住民税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする(地方税法39条、318条)と規定されています。

つまり、その年の1月1日に住所があると課税されます。

 

住民税の住所の有無に関する判断は以下の通りです。

地方税法294条1項(市町村民税の納税義務者等)において、市町村内に住所を有する個人に課すると規定されています。

 

市町村内に住所を有する個人とは、地方税法294条2項ににおいて、住民基本台帳法の適用を受ける者については、当該市町村の住民基本台帳に記録されている者をいうとされています。

 

住民基本台帳法の適用を受ける者とは、日本人で日本に住所を有する者外国人で市町村の区域内に住所を有するもので中長期在留者(原則的に3ヶ月超日本に滞在する外国人)や特別永住者などが規定されています(住民基本台帳法30条の45)。

 

結論として、1月1日時点で住民基本台帳に記録されている(住民票がある)人は住民税が課税され、ない人は課税されないということになります。

 

なお、住所の判定は所得税法と同様に民法の概念を借用する形となるため、1月1日に本当は住所はあるが単に住民票を入れていなかったという場合は遡求して課税される可能性があるので注意してください。

 

 

 

 

2.租税条約の対象税目に住民税がある場合とない場合


 

租税条約の対象税目に住民税がある場合とない場合で取り扱いは変わるのでしょうか。

 

結論としては変わります

 

日米租税条約のように住民税が対象税目として規定されていない場合は住民税は租税条約による居住地判定ではなく、日本の地方税法に基づいて居住地判定を行うこととなります。

 

例えば2020年1月~11月は米国勤務、2020年12月~2021年2月は日本で勤務していたが、2020年3月以降は再度米国勤務となったような場合、所得税法上は日本非居住者と考えられ日本の国内源泉所得のみに課税がされます。

しかし、1月1日に住所が日本にあるので住民税は課税されます。

 

反対に、シンガポールのように租税条約の対象税目に住民税が規定されている場合はどうでしょうか。
この場合は租税条約に従って居住者判定を行います。

 

例えば上記のような例で、1月1日に日本に住所があり住民税の課税がされる者が、シンガポールでも居住者として課税されるような場合は租税条約に従って居住者判定を行います。
租税条約に従った結果、1月1日時点は日本非居住者と判断された場合、市区町村に対し租税条約の適用により住民税が課税されない旨を説明し、免除をしてもらう必要が生じます。

 

なお、1年の間に居住者期間と非居住者期間がある場合の住民税の計算は、所得税法施行令258条(年の中途で非居住者が居住者となった場合の税額計算)によって算定することとなります。

 

租税条約に住民税がある国:イギリス、イタリア、韓国、シンガポール、中国、ドイツ、フランス、ベトナム、香港、マレーシアetc…
租税条約に住民税がない国:アメリカ、インド、インドネシア、オーストラリア、カナダ、タイ、フィリピンetc…

 

 

いかがでしょうか。
所得税と住民税で居住者・非居住者の取り扱いに差異が出る可能性があることがわかったと思います。
非常に複雑なお話ですので、1月1日に住民票がなければ住民税が課税されないと安易に考えず専門家に相談することをお勧めいたします。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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