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国際税務2021.01.27 日本におけるデジタル課税はどうなるか~その1~

2021年の税制改正大綱にデジタル経済への課税に関する記載はありませんでした。
OECDにおける国際的な議論を見ながら、2022年以降の国内法制化を見込んでいるようです。

では、OECDの議論はどのようになっているのでしょうか。
まだ検討段階ですが、デジタル課税のOECDにおける現状の議論の概要を2回に分けて記載いたします。

 

1.デジタル課税とは


 

インターネットによるデジタル商品やサービスを提供する企業が年々増加・成長していることは多くの方がご存じだと思います。
大手IT企業のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は巨額の利益を得る一方で、納税額が低いということが問題視されています。
この理由として、日本を例に挙げると国外から日本へインターネットを通じてサービスを提供する場合、①外国企業は日本に拠点(事業所)がないため日本側に課税する権利がないこと
②低税率国にこれらのサービスを提供する企業が拠点を(PE)を置くケースが多いことが挙げられます。

このことから、デジタル課税の議論はデジタルサービスが提供される国(消費国)側にも所得を配分し、適正な税負担を図ろうというものです。

 

2.OECDの報告書(2020年10月)


 

OECDの報告書において、「PEなければ課税なし」という国際課税の原則を見直すため、デジタル課税に係る以下の第1の柱第2の柱が公表されています。

具体的にはデジタル化に伴う国際課税のルールを設けること、ネクサス原則(国内に事務所や工場など恒久的施設Permanent Establishment(PE)を持たない企業には法人税を課税できないとするPE原則)と課税対象利得の算定及び配分を決める原則(独立企業間原則/アームズ・レングス原則)を必要に応じて見直すとされています。

参考:OECD HP

 

見直しに係る大きな柱は次の2つです。

第1の柱:各国の利益の課税権を新しいルールで配分しようとするもの

第2の柱:各国におけるミニマム税率で課税を確保しようとするもの

 

 

3.第1の柱


 

新たな利益の配分ルールの対象となる利益の対象を活動テスト(activity test)閾値テスト(threshold test)という基準で規定しようとされています。

 

〈活動テスト(activity test)〉
自動化デジタルサービスADS:Automated Digital Services)と消費者向けビジネスCFB:Consumer Facing Business)の二つが規定されており、これらの取引から生じる利益について対象となることが予想されます。
イメージは、大規模な多国籍グループの全体利益の一定割合(利益Aと記載されている)を市場国に分配する形です。

 

ADSとは例えばオンライン広告サービス、ユーザーデータの販売、デジタルコンテンツサービス、オンラインゲームなどです。

ポイントは自動化という点から人間の関与が最小限である点インターネットを介して提供されるという点です。

ソースルール(源泉地国判定)はオンライン広告は視聴者の通常の居住地、ユーザーデータ販売はデータ対象となるユーザーの通常の居住地、デジタルコンテンツは購入者の通常の居住地という指標が示されています。

 

CFBとは消費者に販売される商品の販売及びサービスの提供と定義されていることからほとんどすべての取引が対象となります。
なお、消費者・企業の双方が対象となるもの(PC,車等)については購入者の特定が困難であることから対象となる旨が記載されています。

ソースルール(源泉地国判定)は商品の最終配送場所、サービスの享受又は利用場所の国と示されています。

 

〈閾値テスト(threshold test)〉
利益配分の実施にあたっては、事務負担軽減の観点から一定の閾値を下回る場合には対象外とすることとしています。
この判定要素として、グローバル総収益テスト国外の対象範囲の収益に対するデミニマステストが提示されています。

 

グローバル総収益テストは、連結グループの年間収益が7億5千万ユーロ(9千5百億円)を基準とすることが考えられています。
国外対象範囲の収益については、グループの本社所在地等を用いてそのホームや国内市場を特定し、それ以外の地域の収益が閾値を超えるか否かで判定することが考えられています。

 

なお、除外業種として天然資源、金融サービス、建設、住宅用不動産販売・賃貸、国際航空及び海運業が挙げられています。

 


 

利益配分方法については定式はあるものの、セーフハーバーや現行の租税条約との調整も含めまだまだこれから議論されていくという印象です。
閾値の基準にあるように多くの中小企業は当面は影響がないと考えられます。
日本の現行法ではインターネットを通じたサービスを提供している事業者が海外へ移住して同様のサービスを提供した場合日本の法人税、所得税の課税が難しいという現実があります。
しかし今後、税率の低い海外へ移住しそこからオンラインサービスを提供する人が増加していくと、日本の国内法において納税義務が生じるような法改正がされるかもしれません。

デジタル課税に関するOECDの動向、国内の税制改正には引き続き注視する必要があると感じます。

 

次回はインパクトが大きかった第2の柱(ミニマム税率での課税)について書きたいと思います。

 

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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