


2026年2月、企業会計基準委員会は(ASBJ)は、実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下、実務対応報告)を公表しました。
1.防衛特別法人税とは?(復習)
令和7年度税制改正において、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置の1つとして「防衛特別法人税」が創設されました。
(余談ですが、防衛力強化に係る財源確保のもう1つの税制措置はたばこ税の見直しでした。)
防衛特別法人税の概要は、以下の通りとなっています。
1.納税義務者
各事業年度の所得に対して法人税を課される法人
2.税額の計算
防衛特別法人税の額
=各課税事業年度の課税標準法人税額(基準法人税額-基礎控除額)×4%-税額控除
3.基準法人税額とは?
次の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税額(附帯税の額を除く)とされています。
・所得税額の控除
・外国税額の控除
・分配時調整外国税相当額の控除
・仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除
・戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業力基盤強化商品に係る措置の税額控除及び同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算
・控除対象所得税額等相当額の控除
4.基礎控除額とは?
年500万円とされています。なお、グループ通算制度を適用する通算法人の基礎控除額は、年500万円を各通算法人の基準法人税額の比で配分した金額となります(通算法人全体で年500万円になります)。
5.税額控除
防衛特別法人税の額を算出するにあたっては、以下の税額控除を行うことが認められています。
・外国税額の控除
・分配時調整外国税相当額の控除
・控除対象所得税額等相当額の控除
・仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除
6.申告及び納付等
①防衛特別法人税の申告期限及びその申告に係る防衛特別法人税の納期限は、各事業年度の所得に対する法人税の申告期限及び納期限と同一となります。また、電子申告の特例についても、各事業年度の所得に対する法人税と同様となります。
②法人税ついていわゆる欠損金の繰戻還付がある場合には、
法人税の還付金の額×4%×(課税所得年度の課税標準法人税額)÷(課税所得年度の)基準法人税額
によって算出された金額が併せて還付されます。
7.適用時期
防衛特別法人税は令和8年(2026年)4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

2.会計処理の取扱い
(1)防衛特別法人税に関する会計処理の基本的な考え方
防衛特別法人税に関する会計処理や税効果会計における取扱いは、地方法人税と同様に行うものとされており、以下の会計基準の定めに従うこととなります。
・法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(企業会計基準第27号 以下、法人税等会計基準)
・税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)
・グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い(実務対応報告第42号)
これは、防衛特別法人税が、法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準として課すことから、法人税に対する付加税という点で、地方法人税と共通の性質を有すると考えられることがベースとなっています【実務対応報告.BC7】
(2)税効果会計における実効税率
税効果会計における法定実効税率についても、地方法人税率と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定することとされており【実務対応報告.9】、防衛特別法人税を考慮した実効税率の算式は、以下のようになると考えられます。
| 法定実効税率= | 法人税率×(1+地方法人税率+防衛特別法人税率+住民税率)
+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率 |
| 1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率 |
(注)防衛特別法人税の計算においては、基礎控除額年500万円が適用されますが、上記の算式では、それを考慮していません。
実務対応報告の適用は2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度からとなっていますが、現在、企業会計基準委員会では、適用対象となる税金に関する原則的な定めを置き、具体的な税金を特別しない形で法人税等会計基準の見直しが行われており、将来的には、新しい法人税等会計基準の中で取り扱われることになると考えられます。
あすかコンサルティング株式会社
【会計コンサルティング担当】津田 佳典
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