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会計制度2019.12.11 不正会計について考える(4)【棚卸資産に関する不正】

少し前までは、不正会計=「売上を操作する」というイメージが強かったかなと思います。売上の操作には、架空売上・循環取引・計上時期の意図的な操作等があります。

ただ、最近の傾向を見ると、売上に関する不正が最も多いのは変わりませんが、棚卸資産や売上原価(原価計算)に関するものが増えてきています。

 

 

【事例】機械装置メーカーC社のケース

 

原材料の購買担当者が、仕入先の要請に基づき会社の在庫を融通。その際、受け取った売却代金を着服した。その後も、在庫の融通取引やスクラップの売却代金を10年近くにわたって着服していた。

 

このような状況が可能となっていたのは、購買担当者が1名のみで、原料購買や在庫管理に関する一切の業務をこの担当者が担っていたことによる。このため、以下のような手口を使うことで、着服を隠し続けていた。

 

発注業務のルール(発注情報をシステム入力し会社所定の納品書を仕入先に発行してもらう)を守らず、電話発注と仕入先の納品書を利用していた。

 

仕入先からの請求がエクセルデータであったため、この内容を都合のいいように書き換えた上で上席者の承認を得ていた。

 

・着服したスクラップ売却分の在庫差異を隠すため、原料投入量を実際の使用量よりも水増ししてシステム入力していた。

 

 

このケースは、内部統制(統制活動)の基本的な要素である職務分掌が十分でなく、周囲からのモニタリング(監視活動)も十分機能していなかったことが最も大きな要素として挙げられます。「あの人は仕事できるから」というような理由で、1人に多くの仕事を任せてしまうことはその業務をブラックボックス化してしまい、不正の「機会」を与えてしまうことに注意が必要です。

 

一方で、請求や原価計算のデータの意図的な書き換えが行われていたという点にも注目する必要があるかと思います。

 

多くの会社では、データの入力結果を総括した資料を上席者が確認するという統制を用意しているように思います。しかし、この統制で誤ったデータ入力を発見することは非常に難しいのではないかと思います。そこで、データ入力が行われる段階で有効な統制(第三者によるチェック)を持っておくことが重要になってきます。

 

請求データや原価計算データだけでなく、シンプルに在庫集計の数量データや陳腐化している在庫の範囲や評価を操作した事例もあるようです。

 

上場会社に内部統制報告制度(J-SOX)が導入されたことにより、販売プロセスについては、色々な場面で周囲の目が行き届くようになった一方で、棚卸資産や原価計算プロセスについては、まだまだ周囲の目が行き届いていないのではないかとの指摘もあります。この点、前年の作業を踏襲するのではなく、一度振り返って検討されてはいかがでしょうか。