メールマガジン登録

BLOGブログ

国際税務2020.07.08 【海外進出時に確認すべき3要素】~低税率国=節税ではない~

日本は所得税の最高税率は45%、法人税の実効税率は30%強、社会保険が約15%、さらに住民税、事業税etc…
いくら稼いでもほとんどが国に徴収されてしまう、という感覚になってしまうのも仕方ありません。

そういった背景とコロナの影響から香港、シンガポール、ラブアン、ジョージアといった低税率国やキャピタルゲインに課税がされない国に海外進出し、税負担を抑えたいという相談が増えています。
海外に法人を設立すれば、海外に口座を作って送金すれば、1年の半分海外に住めば、etc…
これらはよくある相談ですが、話を進めてみると節税効果がないケースがほとんどです。

今回は海外進出する際に最低限検討してほしい事項をまとめました。

 

1.海外移住する意思の有無


 

海外へ移住する意思はありますか?又は準備は進めていますか?
本気で税金対策を考える場合は日本を離れて生活する意思決定が必要です。

 

例えば以下のような場合には税法上日本に生活拠点があるとみなされ、日本の所得税が課税される可能性があります。
日本に生活拠点があるとみなされると海外で稼得した所得については日本で合算され、海外の税金だけでなく日本の税金も課税されることとなります。

 

・日本で事業を行っており、海外移住後も定期的に日本へ帰ってきて事業を管理する
・財産の大半は日本にある
・一年の半分は海外だが、残りは日本で過ごし、帰ってきた際に過ごす家は日本に残してある
・海外へ行くのは自分一人で家族は引き続き日本に住み続ける

 

上記のような事実があったとしても、日本の法律は生活の拠点の判断をその人の状況から総合的に判断するため日本で課税されるか否か判然としないことが安易に考えてしまう要因の一つだと感じます。
課税リスクがあるという事実を理解し、基本的には海外で生活をすることを念頭に、リスク回避のためにすべきことは専門家とよく相談してください。

 

 

 

2.海外法人を設立する場合は実態を


 

とりあえず低税率国に最低資本金で法人を作って、事業を行っている形を作れば利益を海外に移転できる。
そのように考えて法人設立の相談に来られる方が多いと感じます。

 

法人が海外に進出するということは、海外に実態のある法人(拠点)をつくるということが必要です。

 

ペーパーカンパニーという言葉は知っていても、売上も経費も書類上発生させている会社なのでペーパーではないという主張をされます。
法律はそれほど簡単な作りにはなっていないので注意が必要です。

この場合、タックスヘイブン対策税制の対象(詳細はこちらのブログ参照)となり、海外法人の所得も日本法人に合算され、日本の法人税が課税されます。

 

海外で実態があると言うには次の点についてイエスと言えるように検討する必要があります。

・その事業はその国で行う必要があるか、その国でないとできない事業か
・その国に事業を行う事務所はあるか
・事業を管理する人はその国にいるか
・現地で事業を行っているか、またはほとんどの取引を第三者と行っているか

 

これらの項目については具体的に定められていないものも多いです。
例えば、事務所は一人分のデスクがあればいいのか?もっと大きな規模がいるのか?管理には程度のことが求められているのか?など疑問に思うことはあると思います。
業種、業態、会社の事情によって状況は様々です。実態を満たしているか、満たすために何をすべきかを専門家としっかり検討しましょう。

 

 

3.海外に拠点をつくる際の初期費用、維持費用を知る


 

個人、法人ともに現地に実態のある事業拠点を作るためには相応のコストがかかります。

海外に移住しよう、海外に法人を設立しようとしたが、コストを聞いて頓挫するケースがよくあります。
東南アジアを参考に、だいたいのコスト感をご紹介します。

 

・設立費用
諸外国も日本と同様にシンガポールであれば1SGD、香港であれば1HKDなど小さい資本金で法人設立は可能です。
ただし、上記のタックスヘイブン対策税制を回避する場合は現地で人を雇用する必要があります。
大抵の場合、就労ビザの取得を検討することになります。
就労ビザの取得には資本金や取引規模などの要件が定められている場合が多く、国によって様々ですが数百万円~1千万円ほどの資本金が必要になると考えてください。
日本語対応が可能な現地専門家への設立に関する手数料は30万円~50万円ほど、ビザの申請は一人当たり10万円~の相場が多いと思われます。

 

・維持費用
日本と違い、VAT等を毎月申告、セクレタリー報酬、ローカルダイレクター報酬などが必要なケースが多く、そこにプラスで現地会計事務所への報酬がかかってきます。
日本語対応が可能な専門家へ依頼する場合はすべてを含めて100万円/年~が相場と考えられます。
その会社が現地で事業を行っている、現地で管理を行っていると説明できる状態にするにはこれらの維持費がかかってくることを理解しておくことが必要です。

 

 

いかがでしょうか。
海外へ進出する場合には日本での生活、日本での事業、そして海外の法制度をしっかり検討して進めるべきです。
海外は新たな販路としては非常に魅力的だと感じます。
海外進出、国際税務に強い専門家をうまく利用し、海外進出を成功させて頂ければ嬉しい限りです。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

プロフィールはこちらをご覧下さいませ!