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国内税務2026.03.04 居住用不動産を売却した時の税金について

 昨今の不動産事情により5年、10年前に購入された時より値上がりしていることが多いと思います。
今回は居住用の不動産の売却や一部事業に使用している不動産の売却による利益が発生した場合の確定申告等について、概要や気になる点について触れてみたいと思います。

 

 

1.特例の概要


 

利益が発生した際に受けることができる可能性のある主な特例は次のとおりです。
 

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
 
→マイホーム(居住用不動産)を売ったとき、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例。
 

主な要件:居住している不動産の譲渡である
 

・特定のマイホームを買い換えたときの特例

居住用不動産の「買換特例」は、マイホームを売って新しいマイホームに買い換えるとき、売却益への課税を“将来に繰り延べる”制度です。

 例えば、2,000万円で購入した不動産を4,000万円で売却。同年に5,000万円の不動産を購入(買換え)。

本来ですと売却益2,000万円に税金が課税されますが、この売却益への課税は行われず、買換えした不動産を売却した時まで課税が繰り延べられる制度です。
 
主な要件:居住期間が10年以上の不動産の譲渡である
     譲渡した年の1月1日時点において所有期間が10年超である
 
(売却した代金より買換えた不動産の購入代金の方が低い場合、一部繰延べすることができず課税されます)
 
・マイホームを売ったときの軽減税率の特例
 
居住されていたマイホーム(居住用財産)を売って、一定の要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例の適用を受けることができます。
主な適用要件:所有期間が売却した年の1月1日時点において10年超である。
 
この3点が譲渡益が出た場合に受けることができる主な特例となります。
基本的には居住していることが前提となるこの制度。不動産を売却した際の計算方法や不動産の一部を事業用として使用した不動産を売却した場合などについて、今回は一番使用する頻度が多いとされる居住用不動産の特別控除に触れながら説明したいと思います。
 

2.譲渡所得の計算


 

実際に売却した際の税金の計算方法について説明いたします。

● 譲渡所得の基本式
譲渡所得の計算方法は次のとおりとなります。

[ 譲渡所得 = 譲渡価額 – (取得費 + 譲渡費用) ]

譲渡価額:不動産の売却代金、未経過固定資産税など

取得費:不動産購入費用(建物につきましては取得から売却時までの期間の減価償却相当額を控除します)、取得時の仲介料や司法書士費用

譲渡費用:不動産売却の際に支払った仲介料など
 
《自宅を売却した場合》
 
居住していた自宅を売却した場合、売却代金から取得費(不動産購入代金など)及び譲渡費用(譲渡の際に掛かった仲介料など)を差引いた金額から特別控除額(最大3,000万円)を控除します。控除後残った金額に所得税、住民税が課税されることとなります。
 
《自宅兼事務所を売却》
 

自宅の一部を個人事業の事務所として使っていた不動産を売却した場合の税金の計算について触れてみたいと思います。

税金の計算は「居住用」と「事業用」を分ける必要があるため複雑になりがちです。
次のような具体的なケースをもとに、売却時の税金を計算します。
 
【今回のケースの概要】
● 売却する不動産
• 構造:鉄筋鉄骨コンクリート
• 購入時期:平成28年1月
• 購入価格:建物2,000万円+土地2,000万円=4,000万円
• 床面積:80㎡
• 使用割合:居住用70%・事業用30%(併用部分加味後)
• 売却時期:令和7年12月(所有期間10年、1月1日時点で10年以下)

• 売却価格:6,000万円
 
このケースで重要なのは次の点です。
• 売却益は「居住用70%」と「事業用30%」に分けて計算する
• 3,000万円控除については居住部分のみしか使用できない
 
つまり、
売却時と購入時の両方で「居住用」と「事業用」を区分することが必要となります。
売却時の税金(譲渡所得)の考え方
今回のケースでは、次のように計算します。
 
● 居住用部分の譲渡所得
[ 6,000万 × 70% – 4,000万×70%-189万※ = 1,589万円 ]
※建物の減価償却費
2,000万円×70%×0.9×0.015(非業務用の償却率)×10年=189万円

→ 3,000万円控除で課税なし
 
● 事業用部分の譲渡所得
[ 6,000万 × 30% – 4,000万 × 30%- 132万= 1,068万円 ]
 

※建物の減価償却費
2,000万円×30%×0.022(業務用の償却率)×10年=132万円

● 税金(所有期間が譲渡した年の1月1日時点で5年超のため長期譲渡(所得税15%、住民税5%)に該当)
 

・居住用部分→0円
・事業用部分→約160万円(所得税)、約50万円(住民税)
 
また、所有期間が10年超の場合、利益の6,000万円部分までは所得税15%(約160万円)→10%(約110万円)、住民税5%(約50万円)→4%(約40万円)に軽減されます。逆に所有期間が売却した年の1月1日において5年超とならない場合(5年)は税率が所得税30%(約340万円)、住民税9%(約100万円)となります。

全部居住用だった不動産の一部を事業用に供することとした後、3年以内にこの不動産を売却した場合には全部を居住用不動産の売却として特別控除の適用を受けることができます。(用途に制限はありません。)

売却する際の所有期間により税金の差が大きくなる可能性があるのでご留意ください。

 

3.その他


 

その他細かい論点となりますが、無視できないので参考程度に。

 

(1)消費税

店舗兼住宅を売却をした場合、建物の店舗部分については消費税の課税対象となりますのでご注意ください。
マンション賃貸(居住用)と駐車場施設の賃貸(年間収入220万円)をされている方(今まで消費税を納めていない)が賃貸しているマンションを売却した際に建物部分の売却代金と駐車場収入の合計額が1,000万円を超えてくる場合、マンションを売却した2年後については、駐車場収入に対する消費税(最大20万円)を納める義務が生じることとなりますのでご留意ください。

 

(2)住宅ローン控除
居住用不動産の特別控除の適用を受け、新たに住宅を購入し住宅ローン控除を受けようとする場合、特別控除の適用を受けた年及び前2年、翌年以降3年間の最大6年間住宅ローン控除を受けることができないのでご注意ください。

 

(3)基礎控除について
居住用不動産の特別控除の適用を受け、居住用不動産については税金が発生しない場合でも他の所得について税金が発生する場合がございます。
具体例といたしましては、
給与収入:160万円
居住用不動産の譲渡所得:0円(特別控除3,000万円控除後)
※他の所得控除等は加味いたしません。
 
この場合、給与所得だけの場合、特に令和7年分及び8年分については給与所得控除や基礎控除の改正により給与所得控除額65万円、基礎控除額95万円を差引くと給与所得が0円となるので所得税は0円となりますが、この基礎控除額の判定基準となる所得は居住用不動産の特別控除適用前の金額で判定することとなります。
 
結果、給与所得95万円+譲渡所得3,000万円=3,095万円となるため、基礎控除を受けることができる所得金額2,500万円を超えることとなり所得税を約5万円納税が発生いたします。

 

以上、詳細なことまで記載すると膨大な量となってしましますので概要となりますが、注意点等もございますので参考になれば幸いです。

あすか税理法人
白川 達也