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国際税務2025.10.29 タックスヘイブン対策税制のペーパーカンパニーとは

タックスヘイブン対策税制の判定にあたり、外国関係会社がペーパーカンパニー、キャッシュボックス、ブラックボックスに該当すると合算課税の対象となります。
では、ペーパーカンパニー、キャッシュボックス、ブラックボックスとは具体的にはどのような会社が該当するのでしょうか。

 

1.ペーパーカンパニーとは


 

法人税法においては、以下の1)~5)のいずれにも該当しない外国関係会社をペーパーカンパニーと定義しています。
つまり、1つでも要件を満たしていればペーパーカンパニーに該当しないこととなります。

1)主たる事業を行う事務所,店舗,工場その他の固定施設を有している

 

2)本店所在地国においてその事業の管理,支配及び運営を自ら行っている

 

3)外国子会社の株式保有を主たる事業とする一定の外国関係会社である
外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社とは次の要件の全て(その事業年度の収入金額が零である場合にあつては,ロに掲げる要件)に該当する外国関係会社とされています。
なお、外国子会社とは外国関係会社が有する株式の割合が25%以上である会社をいいます。

イ 配当が収入の95%以上であること

ロ 事業年度終了時において、子会社株式、未収金、現預金の簿価が総資産の95%超であること

 

4)特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする等の一定の外国関係会社である
具体的には特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で,その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理,支配及び運営が行われていること,その管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること,その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額及びその株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの

 

5)不動産の保有,石油等の天然資源の探鉱等又は社会資本の整備に関する事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしている等の一定の外国関係会社

 

 

 

2.キャッシュボックスとは


 

その総資産額に対する部分合算課税の対象となる各種所得の金額で保険所得及び異常所得の金額を除いた金額の合計額に相当する金額の合計額の割合が30%を超える外国関係会社とされています。
ただし,セーフ・ハーバーとして,総資産額に対する有価証券,貸付金,固定資産(無形資産等を除くものとし,貸付けの用に供しているものに限る。)及び無形資産等の合計額の割合が50%を超える外国関係会社に限られることになっています。

 

 

3.ブラックボックスとは


 

租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社

 

以上、タックスヘイブン対策税制における経済活動基準の判定を行う前の時点で合算課税となり得る要件をご紹介しました。

 

実務では持株会社、統括会社の判定に悩むことが多いと思いますのでペーパーカンパニーの要件についてはよくご確認ください。

 

あすか税理士法人

【国際税務担当】街 有帆

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