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国際税務2018.10.26 海外企業との契約書にかかる印紙税~どうすれば節約できる?~

外国企業(海外子会社ももちろん含みます)と契約を締結する際に契約書を作成されることがあると思います。

 

その契約書に印紙が必要がどうかご存じでしょうか??

 

今日は海外企業との間で締結した契約書にかかる印紙税のお話しをしたいと思います。

 

 

印紙税法は日本の国内法なので当然ですが日本国内でのみ適用される税金です。

よって契約書の作成が国外で行われる場合には、たとえその契約書に基づく権利の行使が日本国内で行われたとしても、また、その契約書の保存が日本国内で行われたとしても印紙税は課税されないこととなります。

 

つまり契約書が、いつどこで作成されたかによって課税されるか否かが決まることとなります。

 

 

では契約書は「いつ」作成されたと考えるのが妥当でしょうか??

 

 

契約書は「当事者の意志の合致を証明する目的で作成する」文書と言えますので、その意志の合致を証明するときに作成されたものと考えるのが妥当で、双方が署名押印等する契約書であれば、後から署名押印等を行われたときに課税文書が作成されたこととなります

 

例えば日本のA社とアメリカのB社が契約書を締結する場合に、A社が日本国内で先に署名押印し、次にB社がアメリカで署名したときは、アメリカで課税文書が作成されたものと考えられるので印紙税は課税されないこととなります。(印紙税法基本通達第49条参照)

 

ここまでお話しするとお気づきの方もいらっしゃると思いますが、問題は税務調査対応となります。

 

 

どこで作ったのか客観的に分かるように、契約書に作成場所を記載したりする等必要な措置を取っておくことが重要です。

 

 

海外との契約書絡みでもう一点お話しいたします。

 

上記の取扱いにより(不幸?にも)印紙税が課税される文書(請負)に該当したと仮定します。

 

請負に係る契約書(2号文書)は契約書に記載された金額が印紙税額を決めるポイントとなりますが、契約金額が外貨で定められていた場合どうするかご存じですか??

 

「金額の記載がない」と判断するのでしょうか?
または自社の社内レートで換算して判断するのでしょうか?

 

 

答えは両方「NO!」です。

 

実際は、文書作成日の「基準外国為替相場又は裁定外国為替相場」により円換算する必要があります。(印紙税法基本通達第24条10号参照)

 

「基準外国為替相場又は裁定外国為替相場」は日銀ホームページに掲載されていますのでご確認下さい(リンクはこちら)。

日本、海外のどちらで契約を締結することも出来る場合、海外で契約を締結すれば日本の印紙税を節約することにつながりますね!

 

最近の税務調査では、どこの国で契約を締結したのか確認がきっちり為されますので、実態に即した課税となるように書類を整えることが肝要です。

 

そもそも印紙税自体が複雑ですが海外関連は更にもう一段階複雑ですのでご注意下さい。